在京民放ラジオ5社(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、エフエム東京、J-WAVE)は9月1日、「災害時等における報道協力に関する協定書」を結んだ。本協定は、激甚災害が発生した際に、さまざまな垣根を越えての報道協力・情報共有などを各社で円滑に行うことが目的。関東のラジオキー局において、災害時の相互協力協定は初となる。
協定書では、主に▼災害や大事故などが発生した場合には、速やかに報道協力の検討に入る▼それぞれの放送の維持ができなくなった場合、諸条件を確認の上「他社の放送を自社の放送に使用する」「記者のリポート・音源の相互提供」「情報交換」などの対応を行う▼日ごろからの相互協力体制を整え、関係強化する▼総理官邸、内閣府、都庁、警視庁、消防庁、気象庁ほか1都3県へ取材内容を共有することなどを結んだ。本協定によってより一層の連携を可能にし、各社はライフライン、交通インフラ、物的、人的被害状況、避難所情報など、リスナーの生命と財産を守るための多岐にわたる情報を、きめ細かく継続して伝える。
担当者であるニッポン放送の大久保太郎・報道スポーツコンテンツセンター長は「自然災害発生リスクが高まっている近年、有事の際にラジオが果たす役割はますます重要になっている。ラジオは停電下でも情報を入手でき、災害に強いメディア」と話す。
これまでも首都圏ラジオ局は、災害時にライフラインの最新情報を伝えるシステム"ラジオライフラインネットワーク"などで連携してきた。本協定は、各社がよりきめ細かく情報収集するため、また、より迅速かつ柔軟な情報発信を継続してリスナーに伝えるため、検討を重ねてこのたびの協定に至った。大久保氏は「災害発生時にリスナーに届けるべき情報の精査、取材先などはその都度優先順位が変わる可能性がある。リスナーに落ち着いた行動を促す情報伝達のあり方なども、ラジオ局共通の課題である。各社で課題を共有しながら、今回の協力協定をよりよいものに進化させたい」としている。