総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」(座長=宍戸常寿・東京大学大学院教授)の第5回会合が9月24日に開かれた。民放連から、「民間放送のコーポレート・ガバナンス強化に関する基本的考え方(案)」(以下、基本的考え方案)を説明、総務省事務局からは、論点整理案の説明があり、意見交換が行われた。
民放連は堀木卓也専務理事と本橋春紀常務理事が出席。基本的考え方案について、9月18日開催の民放連理事会で案として承認され、公表したもので、▼「民間放送ガバナンス指針」(仮称)を定め、この指針の適用状況を社会全体に開示していくことで会員各社の適切なガバナンスを確保していく、▼民放連として会員社のコーポレート・ガバナンス向上にかかわる活動を実施することを明確にするために定款第4条を変更する、▼強化活動の担い手として、外部専門家を議長とする「ガバナンス検証審議会」(仮称)を新設する――などと説明した。
総務省事務局が示した論点整理案は、(ⅰ)ガバナンス確保に関する取組の概要、(ⅱ)ガバナンス確保に関する取組の具体的内容、の2項目に分かれている。このうち(ⅱ)では事案の発生後の対応として、行政の関与について「当該事案に関する報告を求めたり、特に必要な場合には免許に条件を付したりすること」「放送事業者の自主・自律に十分配慮して番組内容への介入にならないよう慎重に制度設計することに留意」――などと記載している。
構成員からは、「民放連が『民間放送ガバナンス指針』を作成し、これをもとにガバナンス強化の活動をしていくことは、大変重要な取り組み。各放送事業者がガバナンス改善を自主的に行いつつ、民放連が助言・アドバイス等の活動をすることは、自主・自律の観点からも望ましい」「民間放送ガバナンス指針に記載されている‟社会全体がステークホルダー"との記述はまさに公益性を踏まえており、放送事業者の存在意義を明文化している」などの発言があった。
意見交換を受け、宍戸座長から民放連の基本的考え方案について「高い評価が得られたと同時に、今後どのように実装して進めていくかについて意見があり、それを踏まえて、本検討会でも論点整理案を充実させていきたい」との発言があった。そのうえで、次回(第6回)会合で▼NHKからガバナンスに関する考えの聴取、▼取りまとめ骨子案の検討を行うことを提案し、了承された。
次回第6回会合は10月中に開催される予定。