総務省「放送事業者におけるガバナンス確保に関する検討会」は、6月27日に初会合を開催した。
同検討会は、フジテレビジョンをめぐる一連の問題の背景には、「放送の公共性や言論・報道機関としての社会的責任に対する自覚やガバナンスの欠如があると考えられる」としたうえで、「ガバナンスを確保し、時代の変化に即応して経営をアップデートしていくことは、一事業者だけにとどまる課題ではなく、放送業界全体で対応していく必要がある課題である」ことから、主に地上民放テレビを念頭に、必要な方策を検討することを目的に設置された。
構成員は、コーポレートガバナンスの専門家ら8人で、オブザーバーとして民放連、NHK、ATP(全日本テレビ番組製作社連盟)、厚生労働者が参加する。検討項目は、▼放送事業者に求められるガバナンスの具体的内容、▼ガバナンスの実効性確保のための具体的方策、▼具体的方策の実施に当たり、放送事業者・業界団体・国等がそれぞれ果たすべき役割――など。
初会合では、座長に宍戸常寿構成員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)を選出した後、総務省事務局から、①放送免許に関する制度、②放送事業者のガバナンスに関する最近の動き、③本検討会において議論いただきたい事項、④今後のスケジュールを説明した。月1~2回の会合を開催し、2025年11月にもとりまとめ案を策定する。
続いて、民放連の堀木卓也専務理事から、人権尊重、コンプライアンス徹底、ガバナンス確保に関する民放連の現下の取り組みとして、(1)「民放連・緊急人権アクション」の実行、(2)民放事業者のガバナンス確保の方策に関する検討について説明した。
構成員の意見交換では、▼放送分野に求められるガバナンスの内容、▼ガバナンスに関するルール(コーポレートガバナンスコード等)の策定の手続き、▼策定したルールの実効性を確保する方策、▼放送の自主・自律との関係性――などの論点、民放連の取り組みへの期待が述べられた。
最後に、村上誠一郎総務大臣から「今般発生したフジテレビの事案は、放送に対する国民の信頼を失墜させた。また自主・自律を基本とする放送法の枠組みを揺るがすものであり、極めて遺憾だ」「健全なガバナンスを確保されることで、放送の自主・自律の理念が揺るぎないものになると考えている。変化が激しい時代に放送が先例にとらわれることなく機敏に対応して自らの評価を示せるよう力添えいただきたい」旨のあいさつがあった。
次回第2回会合は7月下旬に開催し、ヒアリング等を行う予定。