米ローカルテレビ600局超が「Coalition for Local News」を結成 配信規制の見直し求める

編集広報部

ABC、NBC、FOX、CBS各系列の600を超えるローカルテレビ局が7月18日、連合組織「Coalition for Local News」を立ち上げたと発表した。ローカルニュースの未来を守るため、配信規制を早急に見直すよう米連邦通信委員会(FCC)と米連邦議会に訴えていくのが目的だ。

「米国民が最も信頼を置く情報源として、ローカルテレビ局は地元住民に必要な情報をタイムリーに提供している。ローカルニュースは健全なコミュニティと、米国の民主主義を守るための重要な柱。そのローカルニュースの未来が今、旧態依然とした規制とそれを改正しようとしない政府機関によって脅威にさらされている。このままでは、ローカルテレビ局は大手IT・配信サービスへの競争力を失ってしまう」――同連合は設立発表文書でこのように述べている。

ケーブルや衛星テレビ契約を解約(コードカット)してリニアなテレビサービスよりも配信サービスで見る視聴者が増えるなか、同連合が真っ先に掲げているのがFCC規則にある「従来のテレビプロバイダーは、直接ローカルテレビ局と配信の条件を交渉しなければならない」との条項の改正・変更だ。

同規則では「テレビプロバイダー」の定義があいまいなため、YouTube TV、Hulu + Live TVといったテレビの同時配信サービスは法の網をくぐり、ローカルテレビ局の合意を得ることなく番組を配信でき、ローカルテレビ局は対価を得ないまま泣き寝入りしているという。地方の放送局自身がオンラインメディアと直接交渉できる機会を確保し、公正な市場の下でジャーナリズムを維持していくべきだとしている。

同条項が制定されたのは2014年。当時は、テレビの同時配信サービスの契約世帯は全米でわずか20万弱。しかし、23年第1四半期には1,700万世帯に増え、全米世帯の約4分の1が同時配信を視聴しているとの報告もある(調査会社MoffettNathanson調べ)。当時と市場が全く変わっていることを訴え、早急な改訂をFCCと議会に対して迫っていく構えだ。マリア・キャントウェル連邦上院議員(民主・ワシントン州選出)ほか、すでに何人かの連邦議員がこの件でFCCに働きかけを始めている。

同様の動きとして、米国では6月にローカルニュースメディアに大手オンライン・プラットフォームとの共同交渉権を持たせようとするジャーナリズム競争・保護法案 も審議されている。

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