英BBC 若者向けチャンネル放送再開も厳しい評価

編集部

英公共放送BBCは2月1日、経費削減を理由に2016年から停波していた若者向けチャンネル「BBC3」の放送を6年ぶりに再開した。停波前と同様、周波数を子ども向けチャンネル(CBBC)と共用し、BBC3は19時~翌4時の時間帯で放送している。

放送サービスを再開した理由は、ターゲットの若年層(16~34歳)のBBC離れが進んでいるためだ。また、視聴者開拓のため"脱ロンドン路線"を打ち出し、番組の3分の2を地方で制作するなど、多様性をアピールしている。

「BBC3」の復活をめぐっては、視聴シェアの取り合いを懸念する民放や、EPG上位チャンネルの明け渡しを不服とする有料放送のスカイらが反対していた。しかし、公的メリットや市場への影響などを検証したOfcom(情報通信庁)は「大手民放の広告収入の減収見込みは最大でも1%未満で影響は少ない」として、放送再開を支持。また、BBCが若者層にリーチするには、テレビとネットの両方が必要と判断した。そしてEPGでも単独チャンネルとして上位配置に戻ることを認めた。他方、業界の主張の一部を受け入れ、「BBC3」では毎日ニュース番組を編成するなど多様な番組を編成することを義務付け、放送番組の75%は国内制作のファーストランにするなどの条件も課した。

BROADCAST誌は、新生「BBC3」の視聴率は目玉番組やサッカー中継(アフリカ杯決勝)に支えられ「まずまずの復活を遂げた」と報じたが、国内の評価は厳しい見方が多いようだ。加えて、同チャンネルには再開早々、大きな障害が立ちはだかった。英政府(担当大臣)は1月、BBCの受信許可料を2年間凍結する考えを出した(「海外メディア最新事情」参照)。インフレが続けばBBCは大幅な支出削減を迫られることになる。ガーディアン紙は「BBC3」の復活を「巨大でおそらく無駄なギャンブル」と評し、早々にヒットが生まれないと現在の形での存続が危ぶまれる可能性を指摘している。

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