英政府は4月28日、放送や動画メディアに関する新たな政策目標を議会に示し、BBCの改革や受信許可料制度の見直しを明らかにした。
今回の政策発表に併せて出された白書で、政府は「生中継や番組をリニア視聴する人が少なくなり、テレビを持たない世帯が増加している」との現状認識を示し、この傾向が続けば、受信許可料によるBBCの財源維持は厳しくなり、現状を維持しようとすれば、料金の値上げは避けられないとした。また、支払い逃れが刑事罰になる点について、在宅の割合が高い高齢者や女性の摘発率が高く、「不釣り合いで不公正なもの」と懸念を示した。
同国では1923年から受信許可料を国民から一律に徴収し、BBCの事業財源に充ててきた。しかし、放送の視聴スタイルが変わり、テレビを所有せず、番組をオンデマンドのみで楽しむ「支払い回避組」が増えた。前回の料金見直しでも現行制度の是非が問われたが、その時点では「BBCにとって最も適切な資金モデルであり続けている」との見解が出され、テレビを介さないオンデマンド視聴も受信許可料の支払いを義務づけた。
だが、今年1月に公表されたデータによると、改正当時と比べ、料金の支払い回避率は約2ポイント増え、7.25%に達していることがわかっている。政府はBBCとの交渉で、2027年までの料金について合意しているが、28年からの財源モデルについては、国民の理解が増すような次の時代に沿った見直しを目指している。
大手民放各社は今年4月のBBCの財源に関する公聴会で、受信許可料の代替案として広告モデルを導入することに強い懸念を表明。BBCの財源モデルの見直し自体が、英国のコンテンツ産業全体に悪影響を及ぼすものであってはならないと述べた。