政治家の取り上げ方などで各局に留意促す BPO検証委が委員長談話

編集広報部
政治家の取り上げ方などで各局に留意促す BPO検証委が委員長談話

BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は6月2日、毎日放送(MBS)が今年1月1日に放送した『東野&吉田のほっとけない人』をめぐる小町谷育子委員長の談話を発表した。バラエティー番組で政治問題や政治家を扱う場合、①視聴率偏重の人選がなされていないか、②質的な公平性を担保するため異なる視点が提示されているか――あらためて確認して番組制作にあたるよう各局に留意を促している。

同番組は橋下徹(弁護士・コメンテーター)、松井一郎(大阪市長)、吉村洋文(大阪府知事)の3氏が、司会のお笑いタレント2人と国政や関西が抱える問題でトークを繰り広げた。ゲストはすべて日本維新の会関係者で、放送後、MBSの番組審議会(番審)で政治的公平性をめぐって疑義が呈されたほか、BPOにも視聴者から意見が寄せられていた。

MBSは社内に調査チームを設けて検証し、3月1日の番審でその結果を報告・公表した。報告は▷3人のキャスティングは視聴率を意識▷制作担当の政治的公平性に関する認識の甘さ▷番組内容をめぐる多角的な精査や組織的な検討の不足――などが要因と総括。全社研修やチェック体制の強化など再発防止に向けて取り組みを進めている。

検証委は同社のこれら自浄作用に期待するとともに、政治的な「量的公平性」と「質的公平性」をめぐって意見を公表すれば、「放送局が政治的な質的公平性を追求する際の足かせになる」として審議入りはせず、討議の形での意見交換にとどめた。ただ、「審議入りしない」との結論だけが独り歩きし、この番組が提起した問題点が放送界全体に共有されないことを危惧し、委員長談話をまとめることにした。

政治に関する番組を視聴率重視で制作すると、話術に長けたタレント性のある政治家が出演者として選ばれ、特定政党の政治家ばかりが取り上げられるおそれが払拭できず、全体として政治的公平性を保つことは難しいと指摘。また、バラエティー番組に限らず政治家の記者会見や取材で自粛や抑制・萎縮があるとすれば、「メディアは政治家の主張を紹介するだけの導管になってしまいかねない」と指摘。参院選を控えるなか、各放送局の積極的な報道と多角的な視点による政策の掘り下げに期待した。

同談話について民放連は6月6日付で会員全社に文書で社内共有を促すとともに、同10日には全社の代表者が集う会員協議会で放送基準審議会の佐々木卓議長が各社の自主自律的な対応を呼びかけた。

なお、MBSは6月1日、総合編成局に「オートノミーセンター」を新設した。同番組をめぐる社内調査結果を踏まえ、それまで総合編成、報道情報、制作スポーツの各局に設けられていた「番組アドバイザリー」を全社横断的な組織に再編。制作過程における適切な助言と内容チェックの機能を強化するという。

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