文化放送『おとなりさん「教えて!全国☆ラジオスター」』 ラジオ好きを巻き込みたい!

門馬 史織
文化放送『おとなりさん「教えて!全国☆ラジオスター」』 ラジオ好きを巻き込みたい!

文化放送の平日朝のワイド番組『おとなりさん』(月―金、8・00―11・00)で、金曜日に放送しているコーナー「教えて!全国☆ラジオスター」。金曜パーソナリティを務めるアンガールズの山根良顕さんが、全国各地の"ラジオスター"とお話しし、人気の秘密を探っていく30分です。

ラジオ好きの山根さんが、radikoプレミアムで全国のラジオ番組を聴かれていることをきっかけに生まれたこのコーナーは、スタートから1年がたち、北は北海道から南は沖縄まで、これまで50人以上のラジオスターにご出演いただいています。

コロナ禍でのスタート

『おとなりさん』は2022年4月、コロナ禍で人と人との距離が精神的にも物理的にも離れてしまった時期に、「たくさんの人を身近な"おとなりさん"と感じられるように」という思いから始まりました。このコーナーも、「全国のラジオパーソナリティの方々と"おとなりさん"になりたい」という願いが根底にあります。実際に、ご出演いただいたパーソナリティの方とその後も交流が続くなど、まさに"おとなりさん"が増えていくような感覚があります。

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また、このようなコーナーができたのには、コロナ禍でリモートシステムが普及したことも、大きく影響しているかもしれません。コロナ禍以前は、どの番組もゲストはスタジオにお越しいただくことが大前提で、遠くにお住まいの方の出演はあまり多くはなかったように思います。しかし、パソコンやスマホで簡単に、映像付きでつながることができるようになり、スタジオにもそのような環境が整ったことで、全国各地のパーソナリティの方々をゲストにお迎えしようという発想が生まれました。

ゲストは、基本的にはリスナーの方からの推薦を受け、スタッフで番組を聴いたうえで決めています。これまでに、アナウンサー、DJ、タレント、ミュージシャン、お笑い芸人――さまざまなジャンルの方をお迎えしてきました。放送局も、AM、FM、コミュニティFMと何でもありです。

"番組全体"で遊びに来てくれる

ありがたいのは、ゲスト告知をすると、その番組のリスナーの方が「〇〇さんはこんな人です!」「この話を聞いてみてください!」「こんなことが得意ですよ!」と教えてくれること。そして、番組内でそのようなリスナーからのメッセージを紹介すると、ゲストの方も「あー、ラジオネーム△△さん!」と、どこかホッとした表情を見せてくれます。おかげで、ゲストの方とは「はじめまして」ですが、友人が親しい友人を紹介してくれた時のような雰囲気で、コーナーを進めることができます。実際にスタジオにゲストとしてお迎えしているのは番組のパーソナリティですが、まるでリスナーも含めた番組全体で遊びに来てくれているような、そんな空気があります。

また、ゲストの番組の雰囲気を少しでも味わえるように、ゲスト登場時には、その番組のテーマ曲をかけています。いつものテーマ曲、いつもの声が聴こえると、あっという間にゲストの番組の世界がそこに広がります。先方の番組スタッフの方にはお手数をおかけしてしまうのですが、皆さん快くご用意くださり、大変ありがたく思っています。

トークには、番組作りのヒントもたくさん詰まっています。山陰放送の森谷佳奈アナウンサーからはツイッターの活用、DJ・ナレーターの秀島史香さんからは気持ちを込めたあいさつや曲紹介の工夫、四国放送の佐藤旬子アナウンサーからはリスナーと盛り上がれる不思議な楽器「オタマトーン」――と毎回、参考になる学びがあります。また、世代や立場、職業もバラバラなラジオスターの方々の、ラジオとの向き合い方を聞くことができる貴重な時間でもあり、ラジオについて考える機会にもなっています。

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<四国放送の佐藤旬子アナウンサーに教えてもらったオタマトーン
(写真は坂口愛美アナウンサー)

リスナーからは、「聴きたい番組が増えた!」などのうれしいお便りのほか、ラジオスターの推薦メールも日々届いています。悩みのひとつは、真裏で生放送番組を担当されている方のご出演が難しいこと。推薦メールはたくさん届いているので、いつか真裏の番組のパーソナリティの方々にご出演いただく特別企画ができたらいいなと思っています。

今年1月には、スピンオフ企画で、1時間の特別番組『ラジオスター座談会』を放送しました。ゲストでお迎えしたのは、朝日放送ラジオ『ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です』(月―木、9・00―12・00)の三代澤康司さん、南海放送『やのひろみの部屋』(月、19・00―21・00)のやのひろみさん、山陰放送『森谷佳奈のはきださNight!』(月、20・00―22・00)の森谷佳奈アナウンサーの3名。「ラジオで喋るにあたり大切にしていること」など、それぞれがトークテーマを持ち寄り、お互いに聞きたいことを話しているうちに、あっという間に1時間がたっていました。こちらも定期的に開催できたらと考えています。今回はリモート収録でしたが、いつかは一堂に会するようなイベントもできたらいいなと思っています。

遠くのパーソナリティとつながることができるこのコーナーですが、関東のラジオ局との交流も楽しみのひとつです。エフエム東京の『山崎怜奈の誰かに話したかったこと。』(月―木、13・00―14・55)とはお互いの番組を行き来するコラボを実施しました。また、ベイエフエム『it!!』(月―水、12・51―15・51)のパーソナリティを務める春原佑紀さんにゲストでお越しいただいた際は、番組スタッフの方たちも一緒にスタジオにいらっしゃって、盛り上げてくださいました。

あなたの"おとなりさん"に

このコーナーをやっていて感じるのは、皆さん本当にラジオが好きなんだということ。ラジオスターはもちろん、そのラジオスターを応援しているリスナーも、そしてラジオスターを支えているスタッフも。この「好き」で支えられているところがラジオの強みだと思います。

「ラジオ好きな人を巻き込んで、ラジオ界全体を盛り上げたい」

番組が始まった時に、パーソナリティの山根さんがおっしゃっていました。ラジオが好きな人たちと、「好き」に支えられているラジオだからこそできる、"心"の通う番組を放送していきたいと思っています。

そして、ちょうど良い距離感で寄り添ってくれて、"人"を感じられる、心のあるメディア――"おとなりさん"のような存在のラジオが、これからも愛されてほしいと思います。

生放送風景.JPG

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