BPO青少年委 「放送局のメディアリテラシーへの取り組み」に関する調査研究を公表

編集広報部

放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送と青少年に関する委員会」(青少年委、榊原洋一委員長)は8月2日、「青少年のメディア・リテラシー育成に関する放送局の取り組みに対する調査研究報告書」を公表した。2019-21年度の調査研究事業として実施したもので、青少年委の中橋雄委員(日本大教授)のほか、飯田豊・立命館大准教授、松村菜摘子・同大学院博士後期課程、中村介・同大学院博士後期課程の3氏が共同研究者として調査を行った(所属・役職などは3月31日時点)。

2000年代以降に全国の放送局が取り組んだ青少年のメディア・リテラシー育成関連の取り組みについて、その到達点と課題を共有することを目的として行った同調査。民放連会員社とNHKの協力で各局にアンケートと聞き取り調査を行い報告書にまとめた。

第1章は日本の放送現場で「メディア・リテラシー」という言葉が使われるようになった経緯を振り返るとともに、NHKと民放各社のこれまでの取り組みを概観。番組の受け手だけでなく、送り手側の視点が浮上してきたことなどを解説した。

第2章は全国のNHK54局(首都圏局を含む)と民放連会員社(205社)に行ったアンケート調査の結果をまとめた。過去20年の間に「局内やスタジオの見学」「番組制作やワークショップ」「出前授業」など何らかの取り組みを、調査対象の208件中199件(95.7%)が行っていたことなどを提示。そのうえで、各局がこれらの取り組みを通じて、参加者にどのようなメディア・リテラシー能力を育成しようとしたのかなど、その到達点と課題を分析した。

第3章は特徴的な取り組みを行っている民放6社(北海道テレビ、日本テレビ、テレビ朝日、岡山放送、山口放送、鹿児島テレビ)に焦点。背景や目的、実施体制などをケーススタディとして示した。

終章は「課題と展望」。▷学校教育との緊密な連携▷防災・災害報道という視点の導入▷インターネット社会におけるメディア・リテラシー――などを提言した。

青少年委は青少年とメディアに関する研究事業を継続して行っており、これまでにも「青少年のメディア利用に関する調査」(17年度)、「"中高生の生活とテレビ"に関する調査」(12~14年度)などを実施している。なお、調査を担当した中橋委員は22年3月末で青少年委の委員を退任、飯田氏が同4月に委員に就任した。

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