BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会(=曽我部真裕委員長、以下「人権委」)は2月18日、サンテレビジョンの夕方ニュース番組で放送された元自治体職員の不正疑惑報道に対して、人権侵害はなく、放送倫理上の問題もないとする見解(※外部サイトに遷移します)を公表した。ただし、全9人のうち4人の委員が少数意見(反対意見)を付記した。
審理の対象は、同局が2023年9月26日、27日に放送した『ニュース×情報 キャッチ+』での報道。地方自治体が東京に出店したアンテナショップで、当該自治体の元課長が現職時代に、アンテナショップで公金での飲食をしたなどの不正疑惑を報道した。これに対し、元課長が「放送内容は虚偽であり名誉権を侵害された」と申立てていた。
2月18日の会見(=冒頭写真)で、曽我部委員長は「人権侵害はなく、放送倫理上の問題があるとは言えないと判断。地域にとって重要な問題に取り組み、ローカル局に期待される役割を真摯に果たそうとした姿勢を積極的に評価した」と説明した。
一方、元課長の不正疑惑に関連して取り上げた広告代理店勤務の人物について、本人または会社への取材が不足していた点などを理由に、▶3人の委員が「人権侵害なし、放送倫理上問題あり」として本件番組のYouTube動画の削除を求める少数意見、▶1人の委員が「人権侵害あり、放送倫理上問題あり」とする少数意見をそれぞれ決定に付記した。人権委は、サンテレビジョンに対してこれらの少数意見も踏まえて、人権により配慮した番組制作に努めることを要望した。