【ローカル最前線】新潟放送「BSNキッズプロジェクト」 こどもにうんと「おせっかい」

田巻 直子
【ローカル最前線】新潟放送「BSNキッズプロジェクト」 こどもにうんと「おせっかい」

新潟放送の創立50周年を機に立ち上がった「BSNキッズプロジェクト」は、今年で20年を迎える。放送局や子どもたちを取り巻く環境は大きく変わったが、「こどもたちの未来のために、地域放送局ができることを」という思いは、ずっと変わらない。それは、子ども時代の鮮やかな"新潟体験"を、子どもと親、両方にプレゼントすることだ。それを「地域みんな」で行う。

例えばイベントでは、親子スキーツアーや親子田植え・稲刈り体験ツアー、キッズフェスティバルでの丸太切り体験など、協賛企業の助けを借りて「新潟らしい体験」を提供してきた。また、地元在住の絵本作家と作ったふるさと再発見の絵本は3部作になった。

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<「スキーツアー」の様子>

ラジオでは、こどもパーソナリティが主役の「キッズラジオ」が長く愛され、専門家がさまざまな子育てのヒントを伝えるウェブ連動コーナーも好評だ。テレビでは、SNSと連動した「親バカグラム」が人気で、わが子の動画を投稿してくれる「親バカ」なパパやママの愛情で溢れている。

2004年10月、最大震度7を観測した新潟県中越地震が発生した。子どもたちの「心のケア」が重要な課題となり、私たちは「被災地読み聞かせキャラバン」を結成。全国から寄せられた善意の絵本と文房具も併せ持って避難所や保育園を訪ねた。傷跡が生々しい園舎で、最後まで抱っこをせがむ子やぎゅっと握った小さな手が忘れられない。これも、キッズプロジェクトの原点だ。

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<「被災地読み聞かせキャラバン」の活動模様>

20年間、私たちは、子どもを真ん中に置きながら、親をはじめとした「大人」へのアプローチを意識してきた。子どもを育むのは、大人たち。子どもの未来を創るのも、大人たち。子どもたちが「新潟で育ってよかった」と、いつか思ってくれるとしたら、そこには故郷の海や山だけでなく「愛されて育った、新潟での日々の記憶」が欠かせない。「こどもにうんとおせっかい」は、初期に作られた名コピーだったと思う。

現在のコロナ禍は子どもたちの生活を一変させてしまった。私たちは、リモートでの放送局見学や、地元伝統産業の工房からのオンライン・ワークショップなどを実施した。予測のつかない未来だが、子ども時代の鮮やかな体験の記憶をたくさんプレゼントできるよう、これからも、地域の皆さんとともに、「おせっかい」な活動を続けていきたい。

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