沖縄戦描く映画『島守の塔』公開 サンテレビ、とちぎテレビなど各地のメディア連携

編集広報部
沖縄戦描く映画『島守の塔』公開 サンテレビ、とちぎテレビなど各地のメディア連携

サンテレビ、とちぎテレビが製作委員会に名を連ねる映画『島守の塔』が7月22日から東京のシネスイッチ銀座で公開されている。主人公は、沖縄戦前に本土から赴任した兵庫出身の島田叡県知事(萩原聖人)と栃木出身の荒井退造県警察部長(村上淳)。軍の圧力に屈しながらも県民の命を守るために奮闘し、最後は消息を絶った2人の生き様と沖縄県民の苦難を描いた。知事付の職員・比嘉凜役の吉岡里帆も熱のこもった演技を見せ、軍国主義が人々にもたらした犠牲の大きさを際立たせている。

当初は戦後75年にあたる2020年の公開を予定していたが、コロナ禍により同年3月に撮影がわずか4日で中断。企業や団体だけでなく個人からの支援にも支えられ、2111月に撮影を再開し、沖縄の本土復帰50年となる今年の公開にこぎつけた。

19年秋に下野新聞、神戸新聞、琉球新報、沖縄タイムスが製作委を立ち上げ、その後サンテレビ、とちぎテレビや毎日新聞などが加わった。さらに、33の地方局と新聞社が「メディアパートナー」として協賛。放送局では、作品と関わりの深いエリアである沖縄の全民放と栃木放送、エフエム栃木、ラジオ関西のほか、テレビ神奈川、京都放送といった独立局など18社が参画しており、番組やスポットなどを通じた告知に協力している。また、サンテレビが本作を含む映画紹介番組を制作し、番販先のメディアパートナーでも放送するほか、本作の製作に至った経緯も番組化する予定だ。

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<萩原聖人、村上淳、吉岡里帆が並ぶ『島守の塔』場面写真>

本事業を担当する永谷和雄・サンテレビ東京支社長は「沖縄と兵庫、栃木の"トライアングル"を含む各地のメディアとつながりを持てたことは財産だ。映画のPRだけでなく、観光やイベントなどの事業面でも連携していきたい」と意気込む。撮影が中断している期間には、島田、荒井の生誕120年イベントなどを開催しており、本作を通じた平和交流事業も今後展開していく。

東京に続き、8月5日からは沖縄、兵庫、栃木でも上映がスタート。その後、製作委やメディアパートナー各社の所在地以外も含めた全国で公開する。「学校などでの上映会の引き合いは想定していたが、劇場からの『上映したい』という熱烈なオファーが多く、全国に広がった」(永谷氏)という。

同じく製作委の八木澤順平・とちぎテレビ地域・コンテンツ事業部長は「島田叡に比べ、荒井退造の認知度は低い。本土から赴任してきた2人の官僚の苦悩と葛藤を通じて、戦争の悲惨さ、命の大切さを伝えることは地元メディアとして意義がある」と参画の狙いを説明。「中断しても完成を諦めなかった製作委メンバーの姿勢に、ものづくりへの熱量を感じた。地方局として学ぶ点が多かった」と振り返るとともに、「興行としてのピークを越えた後も本作を伝え続けたい」と語った。

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