民放研 「テレビの広告効果に関する研究」第2回調査結果発表

編集広報部

テレビCMは「YouTube動画広告よりも広告認知効率が高い」「認知、興味・関心だけなく購買意思決定にも寄与する」「テレビCMの一人あたりコストは全ての購買プロセスでYouTube動画広告よりも割安で、コスト効率に優れたメディア」――などの調査結果が、民放連研究所の第2回目となる「テレビの広告効果に関する研究」結果で報告された。

同研究は2019年度から電通とビデオリサーチの協力を得て取り組んでいるもので、第2回調査を21年11月から22年1月にかけて実施した。今回は日本アドバタイザーズ協会テレビ・ラジオメディア委員会を通じて募集した3社の広告主の5つの商品(キャンペーン)について、その広告効果を測定。テレビCMの効果、効率の高さを実証した。7月20日にオンライン形式で開催した報告会は会員社から512人の申し込みがあった。


第1回調査(2019年度に実施)では、関東1都6県の15―69歳の男女(ビデオリサーチのVR CUBICのパネル)に実施したネット調査を基に、ブランディングや購買プロセスへのテレビの絶大な存在感が明らかとなった。一方で、具体的な広告キャンペーンの効果検証や客観性の一層の向上を求める声も挙がっていた。

そこで、第2回調査は日本アドバタイザーズ協会を通じて募集した広告主にも研究に参画してもらい、3社(5商品)の広告キャンペーンの効果測定を実施。テレビCMとYouTube動画広告を中心に、広告主が通常行っているマーケティングリサーチの手法に沿った検証を実現した。

今回の調査は全国の15―69歳の男女に対して、21年11月(総サンプル数46,221)と22年1月(同46,174)の2回に分けて実施。商品はアルコール飲料の新商品2種、食品の新商品1種、飲料の既存商品(定番ブランド)1種、耐久財の新商品(定番ブランド)1種の計5商品とした(アルコール飲料は20―69歳に対象を限定)。主な結果は以下のとおり。

【広告リーチ】
テレビCMのリーチ(調査対象者全体に対する5商品の平均リーチ)は79.2%。YouTube動画広告は4.1%。テレビとの重複分を差し引いたYouTube単独でのリーチは1%程度とかなり限定的だった。

【認知効率と購買率】
広告の認知効率(広告がリーチしたと判定された人のうち、その広告を実際に認知していた人の比率、5商品の平均)は、テレビCMが42.9%、YouTube動画広告は20.1%に。両方がリーチした人は48.3%だった。テレビCMの認知効率はYouTube動画広告の2倍以上と高い水準であった。

購買率(広告がリーチしたと判定された人のうち、その広告の商品を購買した人の比率、5商品の平均)は、テレビCMが3.1%、YouTube動画広告は1.7%。両方がリーチした人は5.4%を記録した。

認知効率、購買率ともにテレビCMのほうが YouTube動画広告よりも高い数値を示したが、両者を組み合わせることで、相乗効果を発揮し、より高い効果を示すことも明らかとなった。

【役割の違い】
テレビCMは「認知」「興味関心」に加え、「購買意思決定」のプロセスへも大きく寄与。さらに商品を店頭で確認する行動を促す役割を果たしている。一方、インターネット動画広告は、情報検索など「検討プロセス」に貢献していることが認められた。ただし、商品カテゴリーや新商品か定番品かの違いなどによって、効果性の強弱がみられた。

【コスト効率】
実際の出稿金額をもとに、購買プロセスの接触(リーチ)から購買に至る各プロセスでの1人あたりCM単価を試算した。広告リーチにかかる単価は、テレビCMが2.4円、 YouTube動画広告は5.2円。広告認知ではテレビCMが5.6 円、YouTube動画広告は 25.8 円に。購買ではテレビCM75.8円に対し、YouTube動画広告は308.7円だった。

テレビCMはYouTube動画広告に比べ、リーチから購買に至る全プロセスで割安。特に商品認知以降のプロセスでは、テレビCMは YouTube動画広告の4分の1以下の単価水準で、コスト効率が4倍以上高いと言える結果となった。

なお、今回の調査結果は民放連ウェブサイトで公開しているほか、会員ページでは報告会のアーカイブ動画を配信している(8月20日まで)。また、日本アドバタイザーズ協会テレビ・ラジオメディア委員会にはすでに説明を行い、7月27日には都内で全国紙や専門紙などの記者に向けたブリーフィングも開いた。

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