米FCC緊急警報のルール改定 インターネットベース優先 視聴覚障害者への配慮も追加

編集広報部

米連邦通信委員会(FCC)が9月末、テレビ・ラジオでの緊急警報(The Emergency Alert SystemEAS)ルールを改定した。警報内容をよりわかりやすく、広く一般の人たちに伝わるようにするのが狙い。EASルールとは、政府機関がテレビやラジオを介して国民・住民に緊急時の注意報や警報を流すためのものだ。FCCEASルールの改定を提案したのは202112月。以来、業界関係者から意見聴取を行って検討していた。

■インターネットベースの警報を優先

今回の改定でFCCは、新ルールでは従来の警報システムと、インターネットベースのシステムの両方を用いることとし、特に後者を重視することを強調した。放送局、ケーブルシステム、その他の緊急警報システム提供業者は、可能なかぎりネットベースの警報を優先して流すことが求められる。FCCは、ネットベースの警報は従来のフォーマットで配信される警報よりも多くの情報を提供できるので、より質の高いオーディオメッセージと多言語対応が可能になり、テレビ画面には政府が提供する情報全てを含めることができるようになると述べている。

■専門用語をやめ、一般的な用語を採用

これまで使用されてきた専門用語の代わりに、より一般的な用語を採用することも新ルールに含まれている。警報を受けた国民・住民に、警報内容がはっきり伝わらなければ意味がないからだ。

■視聴覚障害がある人へのアクセシビリティー向上

全ての国民・住民が緊急事態に備えられるように、視聴覚障害がある人へのアクセシビリティーにも考慮が加えられた。

・耳が聞こえない、または聞こえにくいという障害のある人にも警報内容が密に伝わるよう、テレビ画面での視覚メッセージと音声メッセージがほぼ同じ内容であることが、新ルールに加えられた。

・目が見えない、または見えにくいという障害のある人は、ラジオでさらに詳しい内容の音声警報が提供される。

■「継続警報」を排除

連邦緊急事態管理庁(FEMA)の提案で、これまでは警報が解除されるまでテレビ画面で流し続けるというルールがあったが、今回FCCは、「関連企業、団体に意見聴取した結果、その必要性は低い」として、満場一致に近い形ででこのルールを排除することを決めた。「警報を流し続け、時間の経過とともにその内容が古くなり、現状に則さなくなる恐れもある」などと指摘している。

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