米FCC 消費者保護を目的に新提案 テレビ契約料の明細明確化を

編集広報部

FCC(連邦通信委員会)が3月末、ケーブル・衛星テレビプロバイダーに対し、契約世帯への請求明細を詳細かつ明確化することを義務づけるという、新ルールを提案した。バイデン大統領は今年の一般教書演説で、消費者に請求されている不透明な"ジャンクフィー(ジャンク料金)"の摘発を呼びかけ、法案を提示しており、今回のFCCの提案は、それに呼応したもの。

新ルール案は、ケーブル・衛星テレビプロバイダーに対し、契約世帯への毎月の請求書に、サービス内訳を細かく、かつ目立つデザインで明記することを義務づける。新ルール案が採用されれば、リトランスミッションフィー(再送信料)など、現行の請求書に「テレビパッケージ料金」と包括されている内容を、プロバイダーはすべて明記する必要が出てくる。これは新規契約者獲得のためのプロモーション時の料金告知でも同様に適用される。

ケーブル・衛星テレビプロバイダー各社の現在の請求書内容は、「tax(税)」「fee(料金)」「surcharge(追加料金)」など不透明な表記と課金が多く、FCCはそれが消費者に誤解を招いていると指摘する。新ルールのもと、消費者が何にいくら支払っているのかが細かく明記されれば、消費者はその情報を材料に、配信オプションも含めた競合他社のサービスと比較し、自分に最も合ったサービスを選ぶことができるようになると、FCCは主張している。

FCCのジェシカ・ローゼンウォーセル委員長は、「消費者はテレビ視聴契約をする際、自分が何にいくら払っているのかを知る権利がある。苦しい家計を切り盛りしている世帯ならなおさらだ」とし、「請求内容を詳細かつ"ガラス張り"にすることで、消費者を守ると同時に、ケーブル・衛星テレビプロバイダー間の競争を促し、より良い消費者環境をつくることができる」と話している。

今回の新ルール採用には、FCC委員5人のうち最低3人の票が必要になる。現在FCC委員は民主・共和から2人ずつで、最後の1席がまだ空席だが、この段階でローゼンウォーセル委員長がこの新ルールについて発表したことから、すでに採用するための3票を確保していることが予想されると、一部の米メディアは見ている。

なお、ブロードバンドプロバイダーに対してFCCは、昨年11月に新ルール「Broadband Nutrition Label」を制定し、一般の消費者にも契約時などにサービス内容をわかりやすく明記する義務を設けている。

最新記事