九州放送映像祭&制作者フォーラムinふくおか(2024年度) ミニ番組コンテストのグランプリは南日本放送

編集広報部
九州放送映像祭&制作者フォーラムinふくおか(2024年度) ミニ番組コンテストのグランプリは南日本放送

各地の放送局と放送文化基金が共催する「制作者フォーラム」が、9月から12月まで、全国5地区(北日本、北陸・甲信越、愛知・岐阜・三重、中・四国、九州・沖縄)で開催されている。フォーラムでは、制作者同士の交流の場を設けることを目指し、若手制作者によるミニ番組コンテストと、ゲスト審査員のトークセッションが行われる。民放onlineでは各地区の模様を伝える。今回は「九州・沖縄」。
なお、各地区から制作者が集う「全国制作者フォーラム」は2025215日(土)、東京の如水会館で行われる。(編集広報部)


「九州放送映像祭&制作者フォーラムinふくおか」は、福岡市のNHK福岡放送局よかビジョンホールで11月16日に開かれた。九州・沖縄地区の全民放テレビとNHKが協力し、約60人の制作者らが参加した。

恒例のミニ番組コンテストは、レギュラー情報番組のコーナーや夕方ニュースの特集などを中心とした5分以内の番組で、戦争の記憶の伝承、ニュースのその後を追う企画、河童伝説など多岐にわたるテーマが並んだ。参加番組31作品を上映し、番組ごとに審査員が講評、この中からグランプリ1本、準グランプリ2本、優秀賞4本、審査員特別賞3本、放送文化基金特別賞1本が選ばれた(詳細はこちらから)。審査員は、佐々木聰(山口放送・報道制作局チーフプロデューサー)、四元良隆(鹿児島テレビ放送・報道制作局制作部部長/プロデューサー)、匂坂緑里(TBSスパークル・プロデューサー)の3氏が務めた。252月に開かれる「全国制作者フォーラム」に招待されるグランプリ1本と準グランプリ2本は次のとおり。

【グランプリ】
▶南日本放送 前田政樹氏=『おばちゃんの鳥刺し』

【準グランプリ】
テレビ熊本 岡崎宣彰氏=『心待ちにした父がいない稲刈り
テレビ西日本 日高真美氏=『じぶんだけの色~画家・太田宏介(おおた・こうすけ)が描く世界

グランプリの南日本放送『おばちゃんの鳥刺し』は、地元で愛される鳥刺しを長年提供してきた精肉店が店じまいをする最後の日を追った。ノーナレーションながら、画を通じて、店主であるおばちゃんの半生を見事に描き、5分という短い時間で人間賛歌を表現した点が評価された。審査員を務めた佐々木氏(=写真㊦、左)は「主人公はどの街にもいるお母さんだった。目線を低くして、地元の人を伝えるのも僕らの仕事だと思う」とコメントした。

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<表彰式のようす>

続いて行われたトークイベント(=冒頭写真)では、「ドキュメンタリーの種の見つけ方」をテーマに、大村由紀子氏(RKB毎日放送・テレビ制作部シニアエキスパート)がコーディネーターを務め、審査員の3人がパネリストとして登壇した。登壇した全員がドキュメンタリー制作者であることから、自身が制作した番組での経験をもとに議論が交わされた。

「ドキュメンタリーの種を見つける方法は?」との問いに四元氏は「何気ない日常で心動かされたことを取材してみることが必要」と指摘。匂坂氏も、『通信簿の少女を探して ~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~』(BS-TBS、2022年8月14日放送)の制作を振り返り、「当初、番組になるとは思っていなかった。それでも自分と似ている気がする通信簿の少女を探し、諦めそうになると次の取材の糸口が見つかり、その繰り返しで、6年かけ番組が完成した」と"種だ"と確信を持って取材しているわけではないと明かした。会場には多くの若手制作者が集まったこともあり、佐々木氏は「"会いたい""知りたい"という自分の感情を通して世の中に伝えられることがドキュメンタリーを仕事とすることの魅力だ」と呼びかけた。

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