JAROが21年度の広告審査概況を発表

編集広報部

日本広告審査機構(JARO)は6月29日に2021年度の審査概況を発表した。JAROは広告表示の質的な向上と適正化を図るため、消費者から広告内容への苦情や問い合わせをオンラインや電話・FAXなどで受け付けている。その件数や対処内容などの20214月~223月までの1年分をまとめた。

総受付件数は13,771件。過去最高となった前年の15,100件を下回った(前年度比91.2%)。内訳は「苦情」が10,319件(同893%)、広告の制作や審査に関する相談の「照会」が2,668件(同1059%)、その他の「JARO関連」が118件(同97.5%)、広告への好感を示す「称賛」が11件(同50.0%)など。

「苦情」を受け付け経路別でみると「オンライン」が8,244件(構成比79.9%)、「電話・FAX等」2,075件(同20.1%)で、オンラインが約8割を占めた。オンライン経由の苦情はコロナ下で大きく伸び、「苦情」に占めるオンラインの割合は18年度64.6%、19年度72.1%、20年度78.9%と利用が広がっている。

「苦情」を広告の業種別にみると、「化粧品」が778件(前年度比96.6%)でトップ。次いで「医薬部外品」503件(同110.3%)、「オンラインゲーム」474件(同90.6%)、「携帯電話サービス」474件(同76.5%)となった。例年上位にあった「健康食品」は368件と前年度の4割ほどに減少。アフィリエイトプログラムに対する各種法令の改正やインターネット媒体社での取り組みが進んだことなどが影響したとJAROはみている。

一方、近年増加しているのが「買取・売買」の広告への苦情で、298件と前年度比127.9%。コロナ下での不用品買い取り需要の高まりが背景にあるとみられる。

「苦情」を媒体別にみると、「インターネット」が4,779件(前年度比86.4%)、「テレビ」4,238件(同90.5%)、「ラジオ」407件(同121.9%)の順となった。19年度にインターネットがテレビを上回って以降、上位3媒体の順位は変わらないが、ラジオが増加している。ラジオの業種の上位は「買取・売買」「相談業務」「団体」「健康食品」「比較サイト」などで、買い取りに関する広告への苦情が5倍となったほか、親子が怒鳴りあうCMが不快と苦情が寄せられた「比較サイト」が5位に。

「苦情」の内容をJAROは「表示」「表現」「手法」に分類しているが、21年度は「表現」が増加(4,172件、前年度比102.4%)しており、その中の区分では、音がうるさい、画面が気持ち悪いといった「音・映像」関連や、行政のワクチン接種の呼びかけなどの「社会規範」が増加。また、「手法」では国からのお知らせと誤認させる法律事務所への広告などへの指摘が目立った。

JAROは広告の適正化を図るために業務委員会での審議を経て広告主に「見解」を発信しているが、21年度は30件の見解を出した。内訳は「厳重警告」9件、「警告」10件、「要望」10件、「助言」1件。化粧品や健康食品、インターネット上の美容健康商品に関するものが多い。21年度は医療機関や法律事務所など広範に及んだ。最も重い「厳重警告」はインターネットの健康食品や化粧品などが多い。

このほか、21年度は毎年一定数が寄せられる「No.1表示」に関して、その根拠となる調査が表示と適切に合っていない事例や「定期購入商法」で悪質な事例が目立つようになったとして注意を促している。

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