JAROが24年度の広告審査状況を発表 総受付件数は前年並み 不快な広告への苦情が急増

編集広報部
JAROが24年度の広告審査状況を発表 総受付件数は前年並み 不快な広告への苦情が急増

日本広告審査機構(JARO)は7月10日に2024年度の審査状況を発表した。JAROは広告表示の質的な向上と適正化を図るため、消費者から広告内容への苦情や問い合わせをオンラインや電話・FAXなどで受け付けている(JAROの詳しい活動内容はこちら/外部サイトに遷移します)。その件数や対応状況などの2024年4月~25年3月の1年分をまとめた。

総受付件数は10,796件(前年度比99.3%/以下同)でほぼ前年度並み。内訳は「苦情」が8,450件(96.8%)、広告の制作や審査に関する相談の「照会」が1,727件(112.8%)、その他の「JARO関連」が117件(133.0%)、広告への好感を示す「称賛」が28件(147.4%)など。

「苦情」を広告の業種別にみると、1位が「オンラインゲーム」の468件(162.5%)、次いで「電子書籍・ビデオ・音楽配信」406件(155.0%)、「医薬部外品」376件(76.6%)の順となった。「オンラインゲームや」は性的・猟奇的な表現などをはじめ、オプトアウトしても繰り返し表示されるなどインターネット上の広告への苦情が増加した。「電子書籍・ビデオ・音楽配信」でも暴力的な表現が不快との声が多く、こちらもインターネットへの苦情が増えた。

「苦情」を媒体別にみると、「インターネット」が4,327件(107.2%)、「テレビ」3,206件(88.2%)、「ラジオ」282件(83.4%)の順。インターネットは増えているが、放送は減った。テレビは前年度にオンラインゲームや買取・売買のCMに多くの苦情が寄せられたが、今期は苦情が集中するCMが多くなかったため減少したものとみられる。

「苦情」の内容をJAROは「表示」「表現」「手法」に分類しているが、24年度はインターネット広告を中心に「表現」と「手法」が増加しており(表現=3,665件、105.5%/手法=627件、112.6%)、「表現」では前述のように性的・暴力的な表現、「手法」もオプトアウトしても表示される、バナーの「×」ボタンを押しても広告主サイトに遷移するといった苦情があった。

JAROは広告の適正化を図るために業務委員会等での審議を経て広告主に「見解」を発信しており、24年度は25件の見解を出し、うち22件がインターネット広告だった。また、最も重い「厳重警告」が15件、「警告」8件で、医薬部外品や医院・病院、化粧品や健康食品に関するものが多く、放送ではテレビとラジオに「厳重警告」と「警告」が各1件出された。

24年度に顕著だった性的・暴力的・猟奇的な表現については、「表現が不快」だけでなく、「子どもが見てしまうことへの懸念」や「子どもを含めて誰もが閲覧するような場(ウェブサイトやプラットフォーム)で表示される」「非表示にしたりプラットフォームに苦情を入れてもたびたび表示される」ことへの苦情もみられた。また、オンラインゲームや電子コミックの広告における恐怖感を与える表現やグロテスクな表現にも苦情が多く、一部の広告主に対する苦情が集中したのも特徴で、当該広告主にはJAROから情報提供を行ったという。

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