米テレビ大手ネットワークと業界団体 共同コミッティJIC設立  "ニールセン一極集中"からの脱却図る

編集広報部

米テレビ大手5グループ(FoxNBCUParamountTelevisaUnivisionWarner Bros. Discovery)と、テレビのターゲット広告販売を強化・推進する企業連合OpenAP、テレビ広告の業界団体VABVideo Advertising Bureau)が1月9日(現地時間)、メディア視聴データにおける初の業界を挙げた共同の委員会「ジョイント・インダストリー・コミッティ(JIC)」を結成した。ネットフリックス、アマゾン、ディズニーなどは結成メンバーではないが、参入を呼びかけられているという。

JICは、クロスプラットフォーム測定の認定規準とそのプロセスを検討し、ニールセンの代替カレンシーとして台頭している企業群がその規準に従って認定を受けられるようにするためのものだ。テレビ局に高額なデータ料を要求するニールセンの"一極集中"からの脱却を図る目的がある。

そのニールセンは、Nielsen One Ads」をこの1月から始動。現行のC3レーティング(放送開始から3日間のライブ視聴と録画視聴を合計したテレビコマーシャル時間帯視聴率)を2024年秋までには新カレンシーに切り替える。つまり、これまでの広告売買の時代は終わりを告げ、24年には新たな時代に突入することを意味する。視聴計測の監査機関MRCMedia Rating Council)が21年、全米テレビ視聴測定におけるニールセンの認定を取り消して以降、メディアの広告売買カレンシーは不安定な状態が続いている。そこでJICは、24年のアップフロントを目標に、業界を挙げて問題の解決を図っていく。

まずは今年5月からのアップフロントを前に、3月1日(現地時間)には認定規準を発表し、4月には検討の進ちょく状況を共有するイベントを開く予定だ。

JICはあくまでも、これまでのOpenAPの取り組みを活かしながら、全米広告主協会(ANAAssociation of National Advertisers)の協力を得たVABと連携し、メディア視聴データの認定規準を作成するための組織であり、MRCの監査機能に"取って代わるもの"ではないことが強調されている。

■メディア、広告会社、広告主のトライアングルによる補正も

コンサルティング会社デロイトによる調査報告書では、メディア、広告会社、広告主がそれぞれの利益を求め、広告売買カレンシーについて互いに率直な意見をぶつけ合っている現状が示されたとアドエージ誌が伝えている。このため、アメリカ広告業協会(4As American Association of Advertising Agencies)、ネット広告の業界団体であるIABInteractive Advertising Bureau)、広告調査財団(ARFAdvertising Research Foundation)も、今後JICに関与し、解決策を模索していくことが示唆されている。

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