全米がテレビにかじりつく メイシーズの感謝祭パレード中継 NBC系で中継史上最高の2,850万人

編集広報部

ハロウィンやクリスマスと違って、日本にほとんど縁のない米国の祝日に感謝祭(Thanksgiving Day)がある。独立宣言後に初めて制定された祝日で、米国民にとって1年である意味、最も重要な祝日と見なされている。7月の独立記念日や10月のハロウィン、12月のクリスマスがお祭り騒ぎであるのに対し、11月の第3木曜日に定められた感謝祭は「家族が集まって一緒に食事をする日」として昔からの伝統が今も根づいている。

その伝統とは、早朝からテレビで「メイシーズ感謝祭パレード」を楽しみ、午後は家族で食卓を囲み七面鳥の丸焼きを食べ、アメリカンフットボール(NFL)の感謝祭マッチをテレビ観戦すること。なぜかドッグショーのテレビ生中継もこの日の定番だ。つまり、感謝祭とテレビは切っても切り離せない間柄といえる。視聴者のリニアテレビ離れが進む今の米国で、この日ばかりは全米がパレード、ドッグショー、NFLとテレビにかじりつく1日となる。特に今年は、その視聴者数がすさまじかった。

★「感謝祭パレード」は中継史上最高の視聴者数
今年で97回目となったこの「メイシーズ感謝祭パレード」。NBCが独占中継し、毎年かなりの視聴者数を上げるが、今年は記録を達成した。NBCとピーコックで全米に生中継され、視聴者数は延べ2,850万人、18―49歳枠での視聴率は7.2。いずれも昨年の6%増で、パレード中継史上最高となった。そしてパレード中継直後に毎年決まって生中継される「ナショナル・ドッグショー」もNBCとピーコックで1,190万人というアメフト並みの視聴者数を上げ、こちらも昨年から大きな飛躍となったという。

「メイシーズ感謝祭パレード」がニューヨーク市で始まったのは1924年。初めてラジオ中継されたのが32年。そして初のテレビ中継が48年だ。NBCは53年以降ずっと独占生中継している。このパレード、スヌーピーやスポンジ・ボブ、ポパイなど、いかにも子どもが好きそうなキャラクターの巨大なバルーンが延々とブロードウェーを練り歩くもので、子どもだましと言えなくもない。しかし、バルーンの制作には手間暇がかかるだけでなく、高度なデザインと技術も求められる。そして毎年どんなキャラクターがパレードに参加するのか、新しく加わるキャラクターは何かなど、ホリデーシーズンのキックオフ・イベントだけに、子どもよりも大人が大騒ぎする。

★『ONE PIECE』のルフィも登場
今年の新バルーンは7体だった。中でも最も注目を浴びたのは、日本が世界に誇る漫画・アニメ『ONE PIECE』の主人公ルフィだ。今年はNetflix制作の実写版シリーズが米国で大ヒットし、漫画もアニメも見たことがない層にまで「ルフィ」の名前が浸透していった。今年のパレード視聴者数が激増したのも、ルフィ効果ではないかといった声が在米邦人アニメファンの間で聞かれたほどだ。しかも、パレードの途中でルフィのトレードマークである麦わら帽子の"つば"が木に引っかかり、しぼんでしまうというアクシデントも。しかしそれもご愛嬌、テレビ画面にルフィが登場すると、全米のリビングの『ONE PIECE』ファンは大きな拍手を贈ったという。

さて、過去にこのパレードに巨大バルーンとなって登場した日本のアニメキャラクターはルフィだけではない。近年特に、日本製のキャラクターの進出は著しく、 「ハローキティ」のキティちゃんに始まり、『ドラゴンボール』の孫悟空や、『ポケモン』シリーズのピカチュウなどは2018年あたりからのレギュラーで、今年のパレードでも沿道から大声援が上がった。アーティスト草間彌生による巨大バルーンも19年のパレードにお目見えするなど、日本とは全く関係なさそうなこの感謝祭パレードに、意外にも日本文化が浸透し、全米のテレビ視聴者から絶賛されている。

★NFLの感謝祭ゲームも記録的視聴者数
最後に、この日の伝統の一つであるNFLの試合中継も、今年はすさまじい視聴者数を記録した。今回の感謝祭のマッチアップはワシントン・コマンダーズ対ダラス・カウボーイズ。CBSが中継し、45対10でカウボーイズが快勝したこの一戦、平均視聴者数がなんと4,176万人。これはNFLレギュラーシーズン史上第2位の視聴者数ということだ。

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