ビデオリサーチ、業界の"Next STANDARD"を議論 VR FORUM 2025

編集広報部
ビデオリサーチ、業界の"Next STANDARD"を議論 VR FORUM 2025

ビデオリサーチ(VR)は10月8日・9日、「VR FORUM 2025」を東京ミッドタウンホールで開催した。会場とオンラインを併用したハイブリッド形式で行われた本フォーラムには、配信を含めて4,900人以上が参加。「Next STANDARDをともに。」をテーマに、広告・メディア業界における次の"常識"や"標準"について、全19セッションを通じて議論が交わされた。

FYCSが描く新たな連携モデル

初日午後には、「FYCSの目指すカタチとは?」が開催。札幌テレビ放送、中京テレビ放送、読売テレビ放送、福岡放送の4社が共同株式移転をし、4社の完全親会社として今年設立した「読売中京FSホールディングス(FYCS)」をメインスピーカーに迎えた。冒頭、同社の石澤顕社長が登壇し、戦略や今後の展望を語った。4社のサービスエリアの人口は4,000万人超で、在京キー局とほぼ同規模だとしたうえで、「4社の経営資源を合わせることで、大きな効果が期待できる」とスケールメリットを強調。

コンテンツにおけるシナジー戦略として、4社の生放送のワイド番組に相互に乗り入れしながら、それぞれの地域の行楽情報を伝える取り組みを行っているとした(参考記事:FYCSホールディングス傘下の4局 朝や夕方の番組でコラボ 初の共同制作特番も)。さらに「埋没しがちなローカルコンテンツをまとめることで世界市場で認知してもらいたい」と日本テレビ放送網の海外販路を利活用したグローバル展開など、キー局とFYCSのシナジーについても言及した。

また、FYCS傘下の4社は日本テレビ系列における基幹局であるため、系列全体で垂直型からブロック単位の水平連携が可能になるとし、情報共有を通じた施策の実施によって、系列ブランドの向上につながる好循環を期待すると述べた。

DSC_8617.JPG

<登壇した石澤顕FYCS HD社長>

続く15時45分からは、ビデオリサーチ・ビジネスデザインユニットマネージャーの小木真氏による「Next STANDARDをともに考える」。第1部では、海外でのエコシステムの変化について、主に米国・英国の実例を紹介・説明し、第2部では変化への対応策について述べた。現在、日本のBVOD(Broadcast Video On Demand)を伸ばしていくことが業界としての大きなテーマであることから、放送の視聴率と配信でのデータを組み合わせた真のコンテンツパワーを把握することが大切だと説いた。そのうえで、VRは予測につなげるデータを提供し、編成・配信戦略やテレビ広告のプログラマティック化について貢献していきたいと述べた。最後に「ぜひ一緒に考え、アクションを継続的に行い、ともに"Next STANDARD"を創らせていただきたい」と締めくくった。

radiko15周年 TVer10周年 民放配信サービス2社が登壇

2025-10-27 171728.png

<㊧から、松尾剛・ビデオリサーチプラットフォームアライアンス統括、池田卓生・radiko社長、大場洋士・TVer社長>

2日目である9日の16時からは、「民放主体配信サービスが描く未来」と題し、池田卓生・radiko社長と大場洋士・TVer社長らが登壇。両氏ともに今年就任したばかりで、池田氏はTBSラジオ出身、大場氏はテレビ朝日出身である。

今後の目標として、池田氏は、radikoの月間ユーザー数が850万人であることを踏まえ、「地方の魅力を最大限に発信し、放送局と一体となって1,000万、2,000万を目指したい」と語った。一方、大場氏は、TVerのマンスリーユニークブラウザ数が4,120万に達していることを紹介し、「SNS流入の強化を図り、7,500万を目指す」と述べた。

12月1日にサービス開始から15周年を迎えるradikoについて、池田社長は「当時夢のようなプラットフォームができたと思っていた。さまざまなプラットフォームの誕生やワイヤレスイヤホンの存在など非常に面白い時代になっている。生活の中に取り込む音声体験を全国の放送局の皆さまとともに推進していきたい」と今後の展望を語った。

10月26日に10周年を迎えるTVerについて、大場社長は「放送局が制作するクオリティの高いコンテンツを武器に、TVerがテクノロジーで役割を全うし、圧倒的な成長を遂げていきたい」とまとめた。

DSC_8563.JPG

<ブースエリアも同時に展開>

このほか、会場では、ビデオリサーチが最新の取り組みを紹介するブースを設置。テレビCMと動画配信広告の統合指標を提供するシステム 『CM-UMPs(シーエムアンプ)』の紹介コーナーでは、テレビ視聴率由来の即時データを放送後、最短15分後から確認できる「PMビューーン!」を実際に閲覧することができた。同システムは、日本テレビ放送網の「Ad Reach MAXプラットフォーム」にもデータ提供している。

なお、VR FORUMの様子は、2026年1月12日(月)まで視聴可能だ。

最新記事