米SVOD上位100タイトル Disney+とHuluで30% 注目集まる2つの統合シナリオ

編集広報部

ロンドンの市場調査会社Ampere Analysisの最新調査(20221122日)で、全米SVODトップ100タイトルの約30%を、Disney+12%)とHulu17%)の両者で占めることが分かった。単独ではNetflix23%でトップ。HBO Max14%、ピーコックとパラマウント+がそれぞれ9%、アマゾンプライムが6%、ディスカバリー+が1%、その他が9%だった。今後ディズニーが、コムキャスト所有のHulu株を買収し100%オーナーとなった場合の展開と、配信市場への影響をAmpereが分析している。

Hulu株は現在、ディズニーが67%、コムキャストが33%を所有。2社間の合意で、2024年1月にはコムキャストの持ち株をディズニーが買収することになっている。しかし、ディズニーはそれよりも早い時期での買収完了を目指しており、早期にHuluDisney+に吸収し、一本化しようとしている。

現在すでにHulu Plus Live TV契約者には、Disney+のプレミアムプランか広告入りプランのいずれかが無料で付与される。しかも、ディズニーが配給権を所有するHuluコンテンツ(映画、テレビ番組)の割合も、2016年9月時点での6%から22年9月には19%に増えており、ディズニーによるHulu侵襲は着実に進んでいると言える。

一方で、独自の配信プラットフォームを持たない映画スタジオと、NBCU(ピーコック)やパラマウント・グローバル(パラマウント+)、ワーナーブラザーズ・ディスカバリー(HBO Max、ディスカバリー+)など自社配信プラットフォームを持つメディア企業の、Huluへのコンテンツ提供は確実に減少している。仮に大手スタジオがコンテンツ提供を中止した場合、Huluは全コンテンツの10%(Huluのトップ10037%)を失うことになる。これでは配信市場におけるHuluの競争力は衰えるばかりだ。

こうした状況から、Disney+Huluの統合は理にかなっているとAmpereは指摘する。ファミリー向けコンテンツ主流のDisney+と、大人向け主流のHuluが一緒になれば、コンテンツの多様化も図られる。Ampereによるこの最新調査結果は、ボブ・アイガーが突如としてディズニーCEOに返り咲いた直後に発表されたもの。新CEOはすでに、配信ビジネスの黒字化を最優先するとのコメントも発しており、その手腕によっては、ネットフリックスに代わりディズニーがSVODの玉座に座る日も近いとみられている。

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