総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(三友仁志座長)は第22回会合を8月31日に開催し、「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)」(案)を策定した。公共放送ワーキンググループ(WG)など4つの下部組織の検討結果も、別添資料として収録されており、これらを一括した意見募集が近日中に実施される予定だ。同検討会はその結果を踏まえ、取りまとめの内容を確定する。
同検討会は取りまとめ案において、衛星基幹放送のマスメディア集中排除原則の緩和、放送大学の地上放送跡地の周波数帯の早期活用などを提言した。また、訂正放送制度の手続き等の透明化・具体化、民放事業者の情報開示のあり方などにも言及している。
公共放送WGは、NHKのネット業務を、継続的・安定的な実施が義務付けられる「必須業務」とするよう提言した。「必須業務」の範囲は、地上テレビの放送番組と同一の内容を基本に、国民の生命・安全に関わる緊急度の高い情報や、番組表など放送番組の密接関連情報・補完情報等に限定する。具体的には民放事業者、新聞・通信社など関係者が参加する第三者機関の競争評価を経て決める仕組みとする。テレビを持たないネット経由のユーザーには、アプリをダウンロードして利用約款に同意するなどによってテレビの設置と同等とみなせる場合に費用負担を求める。
放送業界に係るプラットフォームの在り方に関するタスクフォースは、地上テレビ中継局の共同利用の早期実現に向け、NHK、民放キー局、民放ローカル局等の関係者からなる全国レベルおよび地域レベルでの協議の場を年内目途に設置することなどを提言した。NHKはコスト分析や仕様検討等の中心的な役割を果たすとしている。
同検討会は、放送の将来像や放送制度について検討するため2021年11月に設置。▽デジタル時代における放送の意義・役割、▽放送ネットワークインフラの将来像、▽放送コンテンツのインターネット配信、▽デジタル時代における放送制度――などを検討事項としてきた。