佐賀に2つしかないテレビ局であるサガテレビとNHK佐賀放送局が一緒に佐賀のテレビを盛り上げたいという気持ちでコラボが実現しました。
テレビの視聴率が減少していく中、共に手を取り合い楽しく"はっちゃけ"ながら佐賀のテレビを盛り上げ、県民のみなさんにテレビに興味を持ってもらう機会を増やそうと企画しました。それが後に県内のHUT(総世帯視聴率)・PUT(総個人視聴率)を向上させることにつながると信じて......。
コラボ企画はこれまでに第2弾まで実施済み。本稿では、第1弾=末次達也・サガテレビ総務局(エスプロジェクト出向)放送番組事業部部長、第2弾=徳渕知子・『かちかちPress』プロデューサー、そのほかの部分の執筆=花田百合奈(サガテレビコンテンツ推進部広報担当兼アナウンス室)が担当しました。
第1弾 看板番組でのコラボ
11月10日、NHK佐賀の『月刊 発見佐賀!食べごろギュッとくん』(金、19・30―19・55)には、サガテレビに出演しているお笑いコンビ・どぶろっくのお2人が生出演。一方、11月11日には、サガテレビ制作の『どぶろっくの一物』(土、17:59―18・30)は、NHK佐賀に出演しているお笑いタレント・はなわさんと、NHK佐賀のアナウンサーによるアテンドのもと、NHK佐賀の局内をどぶろっくが探検(潜入)する内容で放送をお届けしました。
<どぶろっくがNHK佐賀放送局を訪問>
『どぶろっくの一物』をNHK佐賀の局内で撮影するということで、確認事項は山ほどありました。出演者の権利処理、TVerやFODなど配信プラットフォームの権利処理、各局での広報素材の扱い方、そして、番組のコアである撮影内容。ロケ当日まで何度も先方と打ち合わせを重ねました。最終的に、各決定事項に関して覚書を交わすなど丁寧なモノづくりの現場でした。
コラボ企画ということで、番組演出は、「NHKの中でロケをするからこそ意味のあるもの」を最優先で考えました。どぶろっくさんの下ネタがNHKの中で、どのラインまでOKなのかなど、本来であれば、即刻NGと受けるような内容でも、何度も丁寧に打ち合わせを進めることで、ギリギリまで攻めた内容でもNHKがOKを出してくれました。お互いの信頼関係を築けたことが、この企画の一番の成功理由だと思います。
<NHK佐賀放送局のスタジオ>
視聴者や出会った方から「NHKがここまで協力してくれるんですね⁉」という感想を多く聞きます。そのとおりです。『どぶろっくの一物』という明らかに"ヤバめ"な番組からコラボのオファーがきて、NHK上層部の皆さんも不安に感じたと思います。私自身もコラボ企画の時点で、乗り越える壁は多いと感じていましたが、サガテレビの編成、広報部門と連携、そして、NHK佐賀の皆さんが上層部を説得してくれたおかげで実現しました。「佐賀のテレビを盛り上げたい」という全関係者の情熱が実現につながった源です。
「HUT、PUTを向上させるために」という目標から今回の企画が始まりました。最終的には、面白いコンテンツが数字を獲得する時代です。実現するには壁が大きいこともあります。しかし、我々が汗をかくほど、視聴者の心に響くコンテンツになるはずだと、今日も信じて。
第2弾 夕方の看板帯番組でのコラボ
サガテレビの夕方の情報番組『かちかちPress』(月―金、16・15―19・00)、NHK佐賀の夕方ニュース番組『ニュースただいま佐賀』(月―金、18・10―18・59)のMCを、入れ替えて放送しました。
これまでにやったことがない形のコラボに戸惑いがなかったわけではありませんが、「はっちゃけろ!」のテーマのとおり、楽しく、勢いよくテレビのパワーを伝えようと動き出しました。
コラボを広く知ってもらうために、2週間前から『かちかちPress』で告知を行い、さらにサガテレビ平川邦明アナとNHK竹野大輝アナが2ショットでコメントをしている番宣を多く流しました。しばらくして「『どぶろっくの一物』に続き、また何かやるんですね」という声が多く聞こえるようになってきました。
お互い異なる企画コーナーを持っている中、どちらにも共通する「天気情報」枠でコラボができないか、まず検討しました。『かちかちPress』では芸人のおほしんたろうがトレードマークのツナギを着てサガテレビ前からお伝えすることが多いですが、コラボの日は、NHK前から。さらにNHK気象予報士の石掛貴人さんに、おほしんたろうと同じ赤いツナギを着て一緒に登場していただくという、笑いを誘う演出を加えました。毎回、お天気情報の枠内で出題する「おほの〇得クイズ」も、この日は「石掛さんの〇得クイズ」。石掛さんご自身に考えていただき、おほしんたろう同様、スケッチブックに書いてもらうことでコラボ感を狙いました。
番組は、あえて通常コーナーでの展開にしました。ただ、いつもと違っているのはMCが平川アナではなく竹野アナだということ。竹野アナの新鮮なMCぶりをハラハラドキドキしながらご覧になった方も多かったのではないでしょうか。
エンディングは、通常スタジオ内で展開しますが、サガテレビ側をお天気カメラで撮りたいというNHK佐賀からの要望にお応えし、この日はスタジオを飛び出して全員外へ。ラストは、NHKお天気カメラに向かって手を振ると思わせながら、「竹」「野」「アナは」「頂」「い」「た」と書いた大きなボードを掲げるサプライズを仕掛けました。普段は交わることがないサガテレビとNHK佐賀で、生放送を活かした映像のコラボができたのではと思っています。
NHK佐賀のプロデューサー、広報の方をはじめとしたスタッフの方々が、提案内容をよくご理解いただき、できる限りの対応をしてくださったおかげで、楽しくスムーズに準備が進みました。ただ、お互いのルールの違いによるハードルは致し方なく、ひとつの企画が形にできなかったことは少々残念でした。
「はっちゃけろ!」のテーマのもと、この前代未聞のコラボを楽しもう! という制作スタッフの気持ちが表れた放送回だったと感じています。
良い意味での違和感
視聴者からはこんな反響がありました。
・NHK佐賀とのコラボ、楽しく拝見しました。両局とも色々工夫されていましたが、サガテレビの方がより和気あいあいとした雰囲気。エンディングのサプライズ(竹野アナは頂いた)も笑わせてもらいました。アナウンサーの交替ってどうなるの?とびっくりした企画でしたが、想像以上に良かったです。
・新鮮でした。こんなことは全国都道府県初ではないかと。見ている方はなんか違和感あり、最初はドキドキでした。でも徐々に楽しんで見ていましたよ!
・コラボ、本当にいい!良すぎる!! 6時からはチャンネルどうしよう!!録画しながらチャンネル変えながら...。忙しい!!
・NHKとのコラボとっても楽しみにしていました。すごいことだと思います。さすが佐賀!
・NHKとのコラボ、楽しみにしていました。竹野アナも平川アナも最初は緊張されていましたが、やっぱり時間が経つと違和感なく番組を進行されているところが流石だなぁって思いました!!ひとつ発見しました~やっぱりNHKさんはゆっくり、トーンは低く! サガテレビは、明るく元気に!って思いながら番組を拝見しました。今日は、どちらも新鮮でしたよ~!
HUT・PUTを向上させるため、今回は「普段テレビを見ていない層」にも番組を見てもらえるよう、番宣だけでなく、サガテレビが10月に社屋周辺で実施した大きなイベント時に、第1弾のチラシを配りPRしました。県民の方や視聴者の方と会話をしながら番組のPRをすることは、労力はかかるものの、日頃の番組への感想や、みなさんが何を知りたいのか?を直接聞ける貴重な機会にもなったと感じました。
民放「サガテレビ」と「NHK佐賀」が仲良く手を取り合いコラボするなんて「信じられない」「意外」「他局なのに大丈夫?」といった疑問や、良い意味での違和感が今回生まれ、視聴者の皆さんへの興味につながったと思うので、これから第3弾、4弾とコラボ企画を続けていこうと考えています。まだ明確に何をするかは、年明けにNHK佐賀さんとの打ち合わせによって変わってきますが、テレビを身近に感じてもらえるよう、両局のアナウンサーによる本の読み聞かせや、防災・詐欺被害防止へのスポット制作、出張教室(教育や防災など)、イベントの実施など、可能な限り協力し合い、佐賀をこれからも盛り上げていきます。
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<執筆者プロフィール>
●第1弾部分の執筆(写真㊧)
末次達也(サガテレビ 総務局エスプロジェクト出向 放送番組事業部長)
1990年6月11日生まれ。入社2年目から番組制作を担当。入社9年目に『どぶろっくの一物』を立ち上げて現在プロデューサー。
●第2弾部分の執筆(写真㊥)
徳渕知子(エスプロジェクト 放送番組事業部副部長)
『かちかちPress』プロデューサー。
●そのほか部分の執筆(写真㊨)
花田百合奈(サガテレビ コンテンツ推進部 広報担当兼アナウンス室)
入社2年目から『かちかちPress』のリポーター・ディレクター・MCなどを担当。2021年10月から広報兼アナウンス室。