NHKネット配信の必須業務化 改正放送法が公布

編集広報部
NHKネット配信の必須業務化 改正放送法が公布

改正放送法が、衆参両院で可決・成立し、5月24日に公布された。

今般は、大きく2つの改正事項があった。1つ目は、NHKが民放のあまねく受信努力義務(92条)の実施に必要な協力をすることを努力義務から義務に格上げするもので、公布日から3カ月以内に施行される。放送が見聞きできる環境(受信環境)の整備について、民放が協力の協議を求めた場合に、NHKは正当な理由がない限り応じなくてはならない。総務省・NHK・民放で構成する「中継局共同利用推進全国協議会」における地上波テレビ中継局の共同利用の協議を法的にも後押しする改正だ。

2つ目は、NHKの必須業務に、番組(同時、見逃し・聴き逃し)と番組関連情報(ニュースなどの文字情報など)をネットを通じて配信することを追加するもので、公布日から1年6カ月以内に施行される。改正放送法では、NHKのネット配信業務は、下表のとおり分類されることとなる。
必須業務化に伴い、下表の「特定必要的配信」の受信を開始した人は、テレビ放送と同様に、NHKと受信契約を結ぶ必要がある。

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改正放送法の成立を受け、NHK・稲葉会長は、「これまで任意業務だったNHKのインターネットサービスが放送と全く同じ扱いになり、放送と同じ情報内容や価値を提供しなければならないことだと理解している。ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなり、放送を主な業務としてきたNHKとしては、歴史的な転換点を迎えることになると受け止めている」と、5月22日の定例会見で発言した。

今後、NHKは2025年度後半のスタートを目指し、準備を進めるとしている。特に、番組関連情報は、業務規程の策定が必要で、総務大臣はその規程が公正な競争に支障が生じるか否かについて利害関係者等の意見を聴取しなければならないこととなった。現在、この聴取の枠組みのあり方などに関して、総務省「日本放送協会のインターネット活用業務の競争評価に関する準備会合」で検討が進められている。

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