英Ofcom(情報通信庁)は3月18日、国際放送を行うロシアの国営テレビ局RT(旧Russia Today)の英国での放送免許を失効させた。英国でのRTの放送免許を保持する放送事業者ANO TV Novostiがロシア政府から資金提供を受けていることから、Ofcomがロシアのウクライナ侵攻に関するRTのニュースや時事番組において「正当な公平性の規則を遵守することは不可能」と判断したため。Ofcomは、ロシアのウクライナ侵攻に関するRTの報道で、29件もの放送基準違反の疑いを調査していた。
実のところ、英国ではRTはすでに3月2日から放送されていない。これは、欧州連合(EU)がロシアへの制裁措置としてRTとスプートニクの両国営メディアの放送を禁止し、英国にRTコンテンツを提供していたルクセンブルクとフランスの衛星会社に制裁を科したためだ。この制裁は、ロシアによるウクライナへの侵攻が停止されるまで、またロシアとその関連の放送局がEUや加盟国に関する誤情報・情報操作行為を停止するまで続けるとしている。
RT側はこれに対し、不当なメディア規制だと非難。「Ofcomは独立性の建前があっても政府の道具に過ぎない」と反発している。Ofcomは「放送事業者の表現の自由に関する権利の重要性を真剣に受け止めている」とコメント。独立したジャーナリズムを事実上犯罪扱いする最近のロシアのメディア規制などに留意しながら、RTの放送内容の違反審査とは別に、ANO TV Novostiが放送免許を保持することの適切性を調査していた。