名古屋テレビ コロナ禍のミニシアターをドキュメンタリー映画に 『シネマスコーレを解剖する。~コロナなんかぶっ飛ばせ~』

編集広報部
名古屋テレビ コロナ禍のミニシアターをドキュメンタリー映画に 『シネマスコーレを解剖する。~コロナなんかぶっ飛ばせ~』

コロナ禍で悪戦苦闘する名古屋のミニシアター「シネマスコーレ」に名古屋テレビが密着したドキュメンタリー映画『シネマスコーレを解剖する。~コロナなんかぶっ飛ばせ~』が東京のK's cinemaで公開中だ。

若松孝二監督が1983年に創設し、個性的な映画人を後押ししてきた同館は、全国の映画館と同じくコロナ禍で休館を余儀なくされた。名古屋テレビは昨年3月、支配人の木全純治氏の奮闘の模様を『メ~テレドキュメント 復館~シネマとコロナ』として放送。今年2月には『コロナなんかぶっ飛ばせ』と改題し、「"コロナ禍の同調圧力に抗う木全支配人"という図式に再構成したヒューマンドキュメンタリー」(監督の菅原竜太氏)としてシネマスコーレで公開した。

製作総指揮の村瀬史憲氏は2001年、若松監督とレバノンを訪れ「常識を信じるな、自分で見て確かめろ」という監督の反骨精神に感化された。「いつかシネマスコーレを番組で取り上げ、(12年に亡くなった)監督の声を蘇らせたかった」という。全国上映に向けて映画関係者に助言を仰ぎ、タイトルを再び変更。若松監督の生前の姿や、困難な運営を強いられる各地の映画館の実情などを盛り込んだ全国版に仕立てた。

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<左から村瀬史憲氏、木全純治氏、菅原竜太氏

菅原監督は初日(7月2日)の舞台あいさつ(写真)で、「『映画館を通して日本が見えるかもしれない』と取材を始めた。地方から映画を盛り立てようとの思いが、コロナ禍のシネマスコーレを支えていると感じた」と振り返った。共に舞台に立った木全支配人から、「監督には何度も同じことを質問された」と指摘されると「社会の状況が変われば話す内容も変わり、言葉がより響くことがある。支配人は頑固なのでしつこく尋ねた」と取材の裏側を明かした。

7月16日からは大阪のシネ・ヌーヴォでも公開し、その後全国で順次上映する。「本作を携えて各地のミニシアターを行脚し、見た方々と語り合いたい」とあいさつした村瀬氏。配給会社を通さずに公開した狙いとして、予算とともに「映画業界の仕組みを学ぶこと」だと本誌に語った。「発信手段が多様化する中、番組の映画化は放送局が目指すべき道のひとつ。地方局には魅力的な素材がごまんと眠っており、これらをもっと手軽に上映する方法を模索したい」。本作が公開されることで、「地方局の制作者が『メ~テレにできるなら自分にもできる』と思って欲しい」と期待を込める。

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