ロバートの元ストーカーがテレビ局員に!?「おもしろい」「楽しい」コンテンツ制作の最適解を探し続ける

篠田 直哉
ロバートの元ストーカーがテレビ局員に!?「おもしろい」「楽しい」コンテンツ制作の最適解を探し続ける

えっ!? 「民放online」に寄稿の依頼!? 
入社4年目、まだまだ未熟なディレクターが、まさかこんな貴重な機会をいただけるなんて、本当にありがたく、信じられません(笑)

今回お声がけいただいたのは、「テレビ番組」の制作で実績を残したわけではなく、「YouTube」でバズったから......でしょうか。昨年、メ~テレが開催したオンラインイベントで公開した動画『【ロバート秋山】元ストーカーがテレビ局員に。職権濫用で番組に呼ばれる』(以下:ストーカー動画)が600万回再生していただきました。動画の内容は、私が小学5年生の頃にロバートのファンになり、「ロバートと一緒に仕事をしたい!」という夢を抱き、15年の時を経てメ~テレに入社。企画を実現し、実際に秋山さんの番組を制作し、夢を叶えた......という私の人生を秋山さんと語るトーク企画。「ヲタクの成功例!」「ホワイトストーカー」「夢を着実に叶える姿に感動した!」など多くの反響をいただきました。

<『【ロバート秋山】元ストーカーがテレビ局員に。
職権濫用で番組に呼ばれる』

私は入社して制作セクションへの配属直後に「若い世代のデジタルネイティブの感覚を最大限に活かしてほしい」という上司の要望から、社内にYouTubeプロジェクトを立ち上げました。テレビ局で働く人たちのルーティン動画を公開する「テレビ局の生活」、SKE48のメンバーが出演するバラエティチャンネル「おしゆきチャンネル」などを運営し、1年間で200本近いYouTube動画を制作しました。とにかく寝る時間もない1年間で、出演者との調整や契約書関連、外部へ依頼したVTRのチェックなどのプロデューサー業務から、ロケ回しのディレクター業務、収録準備のAD業務まで、いわゆる企画から編集まで一人で完結する「YouTuber」になりました(レギュラーの担当番組の仕事をこなしながら......)。

怒涛の1年間によって、YouTubeやデジタルコンテンツに対する「分析力」と「感覚」を得ることができました。「この動画はこの時間帯にアップした方がよさそう」「このサムネイルはあえて文字を入れない方が伸びる」「このタイミングでSE(サウンドエフェクト)を」「センターテロップを定期的に入れることで視点が飽きない」――。テレビのディレクター業務だけでは身につけられない感覚的なものが、わかるようになった気がします。

そのような経験を経て、苦労がようやく報われて多くの人に見てもらうことができたのが、あの"ストーカー動画"でした。さまざまな編集の工夫やこだわりがあり、テレビ編集とYouTube編集をミックスしています。

YouTubeでは、視聴者が動画を見た長さを測る「視聴維持率」という指標があります。維持率を下げないような工夫、例えば「視点が動き続ければ感覚的に動画に飽きない(=他の関連動画に遷移させない)」ために、テロップをセンターに出してみたり、テレビよりは圧倒的に短い尺で出してみたり、BGMをSE的に使ってみたり――そんなYouTubeっぽい編集を意識しながらも、芸人さんの"間"を使ったトークをテンポよく編集し過ぎてもよくないため、テレビっぽい編集を残したり、テレビっぽいアバンを入れてみるなど、いろいろと試しています。

「テレビ編集」と「YouTube編集」のミックスは、「テレビ局にいながらYouTubeが大好きなディレクター」だからこそできる編集だと思っています。とはいえ、「テレビの演出」はまだまだ未熟で勉強中なので、今後も経験を積み、自分の強みとしてより伸ばしていきたいです。

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<特番『唐沢佐吉のメ~テレ大爆発TV‼』(2020年)>

自分語りが長くなり、すみません。「テレビコンテンツの可能性や将来」をテーマに依頼いただいたのですが、正直、今の私にはわかりません。語れるような経験も立場もないと考えます。しかし、少なくとも言えることは「テレビ局に入ってよかった」と入社4年目の私は思っています。「テレビの演出」の経験を、「デジタルコンテンツ」に活かしながら制作する。「テレビ局で作った優良なコンテンツ」を、さまざまなプラットフォームや出し口で展開していく。日々エンタメコンテンツ業界が変動する中、「制作的な面」でも「展開的な面」でも最適解を探し続けることが刺激的で、毎日の仕事がとても楽しいです。

お金やビジネスのことは考えていない若輩者の戯言かもしれませんが、「いち制作者」としては「自分の作ったコンテンツを多くの人に見てもらいたい」という気持ちが一番で、"その出し口や手段は問わない"のです。媒体は、テレビでも、スマホでも、プロジェクターでも。手段は、電波でもインターネットでもDVDでも"正直なんでもいい"。多くの人にただ「おもしろい」「楽しい」と刺さるコンテンツをこれからも作り続けたいというワガママを、これからもテレビ局である"メ〜テレ"に言い続けたいと思っています(笑)。いつまで「若手だから」と許してもらえるのかわかりませんが。

そんな私ですが、最近本を出しました。『ロバートの元ストーカーがテレビ局員になる。〜メモ少年〜』(出版:東京ニュース通信社、発売:講談社)というタイトルで、前述したストーカー動画のような、私がロバートを好きになってメ~テレに入社するまでの経緯や思いを綴った本になっています。

「伝説のバラエティを作った名プロデューサー」や「有名なドラマ監督」が本を出すのは、たまに聞く話ですが、入社4年目のまだまだ若手のテレビマンが本を出すなんてあり得ない話です(笑)。ただ、「ロバートの皆さんの優しさ」と「運」だけで本を出してしまいました。ロバートの皆さんや周囲に感謝を忘れず、そして「おもしろいコンテンツを作り出す」ことで恩返しできればと思っています。これからもがんばります。

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