「中四国制作者フォーラムinおかやま」(2022年度) 制作者と直に意見交換し、スキル向上図る

編集広報部
「中四国制作者フォーラムinおかやま」(2022年度) 制作者と直に意見交換し、スキル向上図る

各地の放送局と放送文化基金が共催する「制作者フォーラム」が、11月から2023年1月まで、全国5地区(北日本北信越愛知・岐阜・三重、中・四国、九州・沖縄)で開催されている。フォーラムでは、制作者同士の交流の場を設けることを目指し、若手制作者によるミニ番組コンテストと、ゲスト審査員のトークセッションが行われる。民放onlineでは各地区の模様を伝える。今回は「中・四国」。

なお、各地区から制作者が集う「全国制作者フォーラム」は23年2月18日(土)、東京の如水会館で行われる。


「中四国制作者フォーラムinおかやま」は122日、岡山市にあるRSK⼭陽放送内の能楽堂ホールtenjin9で開かれた。実行委員会(RSK山陽放送、岡山放送、テレビせとうち、西日本放送、瀬戸内海放送、NHK岡山放送局)の地元テレビ各局をはじめ、中四国の民放局とNHK地域局から、若手制作者を中心に約50人が参加した。中四国では隔年で開催していたが、新型コロナウイルスの影響もあり、2018年以来の開催となった。

できるだけすべての作品にアドバイスを

各局の若手29人が制作したミニ番組(6分以内)が順次、上映された。その間、以下の審査員が各番組を10点満点で採点。続くトークセッションのなかで講評を披露した。

・ドキュメンタリー監督 大島 新氏
・NHK大阪放送局 視聴者リレーションセンター メディア展開部チーフ・リード 堀之内 礼二郎氏 
・プロデューサー 津田 環氏

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<ドキュメンタリー監督の大島新氏

トークセッションの進行はNHK岡山放送局の塩田慎二アナウンサーが務めた。はじめに29作全体を通じて、「いずれも興味深い」(大島氏)、「元気が湧くほどの若いエネルギー、そして苦労を感じた」(堀之内氏)、「東京にはない作品で、どれもレベルが高い」(津田氏)と評価。続いて、各審査員が気になった番組を挙げ、会場にいる制作を担った若手との意見交換を踏まえながら、優れた点や改善すべき点を伝えた。塩田氏が「できるだけすべての作品にアドバイスを」という狙いをもって話題を進め、多くの若手がマイクを手に直接、審査員とやり取りした。

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<NHK大阪放送局の堀之内礼二郎氏

その中で、映画監督として多くの取材を受けるようになった経験から、自身が考える"ダメな取材者"像を披露したのは大島氏。"質問メモを準備して、そのとおりに聞く人"、"言わせたいことを言うまで取材を終わらせようとしない人"はよくないとして、そうならないよう進言した。堀之内氏も賛同したうえ、取材の受け手に「はい」「そうですね」など、言わせる取材手法は不適切だと述べた。また、制作者が生活者の一員として、地域の人々と日々の関係性を築くことの大切さを説いた。津田氏は若手の感覚を重用するべきだと強調。ローカルニュース番組もさらに興味深いコンテンツになり得るとし、「上司の皆さん、(若手に)自由に作らせてあげて」と呼びかけた。

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<プロデューサーの津田環氏

ローカル局の今後の方向性が議題となる場面も。「大変だが、悲観的になってはいけない。曲がり角だからこそ、できることがある。若手には好きな方法やプラットフォームで思いっきりバットを振ってほしい」(大島氏)、「人の喜びを自分の喜びとしながら、作品づくりに励むことが大切」(堀之内氏)、「よくゴーサインを出せたな、と思えるコンテンツを放送することで、視聴者に面白く感じてもらえる」(津田氏)などと、それぞれ会場を激励した。

時間の関係もあり言及されなかった作品もあったが、フロアからは「厳しくても、自分の番組への評価を聞かせてほしい」と挙手があるなど、活発な時間となった。

審査員の前に参加者の列

最後に表彰式があり、最優秀賞1本と優秀賞2本が以下のとおり選ばれた。

【最優秀賞】

NHK松山放送局 中村奈桜子氏・別所寅之助氏(NHK高松放送局)=『瀬戸内の秋の音「秋マトペ」文化の秋(紙すき+万年筆)』

【優秀賞】

テレビ愛媛 黒田浩司氏=『村上村』
NHK徳島放送局=吉岡朱里氏『ひきこもり経験の若者 お遍路に挑む』

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<最優秀賞に輝いた中村奈桜子氏㊧と別所寅之助氏

いずれも、完成度の高さなどが審査員一同から好評だった。このほか、岡山の各局の代表者が選んだ制作者特別賞6本と、審査員特別賞3本も選出し、表彰された。

閉会後も参加者が審査員の前に列を作り、熱心に意見交換するなど、中四国エリアのテレビの未来が楽しみになる回だった。

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