米中間選挙、広告も佳境  記録的な選挙資金  激戦州で大規模な投下量に

編集広報部

今年の米中間選挙の実施が近づいた10月半ば、広告合戦も佳境に差しかかっている。米アドウィーク誌が、「選挙の結果がどうなろうと、勝者はローカルテレビ局だ」と伝えているように、特にスイング・ステート(歴史的に勝利政党が民主党・共和党どちらにも変動する州)と、連邦上・下院の過半数を左右する激戦州では、候補者・政党によるローカルテレビ局への資金投下はすさまじい。

シンクレア・ブロードキャスト・グループ傘下で、NBC系列のネバダ州ラスベガスのローカル局KSNV-TVは1局で、10月5日現在の政治広告売上は延べ5,400万ドルに達している(広告支出データAdImpact調べ)。ブルームバーグメディアによると、ローカルテレビ局グループの今年最終四半期における政治広告売上の前年比上昇率の予測は、グレイ・テレビジョンが59%増、テグナが30%増、EWスクリプスが22%増、Nexstar20%増とある。

AdImpactによると、今年の政治広告の総額は中間選挙では前代未聞の97億ドル。そのうちの約51%に当たる約50億ドルがテレビ局に投下される見積りだという。大統領選挙年ならまだしも、中間選挙では記録的な額で、その恩恵にあずかっているのが古くからのローカルテレビ局だとブルームバーグメディアは伝えており、調査会社カンターの選挙広告データ部門CMAGCampaign Media Analysis Group)も、「選挙広告支出がテレビに集まる現状は今後も変わりそうにない」とコメントしている。

一方で、テレビの媒体分析を行っているSamba TVHarrisXが8月末から9月頭にかけて、主要な激戦州の2,300人の有権者を対象にアンケートを実施したところ、民主・共和両党の支持者はそれぞれケーブルテレビの2倍の割合で配信を見ていると答えたという。さらに、激戦州でケーブルテレビを有料契約している無党派層の有権者は39%しかいなかったとの結果もある。選挙戦終盤の広告戦略は再考の余地があるとし、将来的な選挙資金の投下先はリニア放送から配信にシフトするとの予測を出している。

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