ネットフリックス 広告入りプラン 苦しい立ち上がり 広告主からの返金要求に応じる

編集広報部

グローバル契約者数の減少を機に、広告入りプランの導入を急いだ配信最大手ネットフリックスだが、約束した視聴者数に満たないため、広告主からの返金要求に応じるという苦しい立ち上がりとなっている。

ネットフリックスが広告入りプラン導入を検討すると発表したのが2022年4月。当初は「1、2年先のことになる」と余裕を見せていた。ところがその後、方針を急転換し、約半年後の11月には広告入りプラン「Basic with Ads」(月額6ドル99セント)を開始している。十分な準備期間を取らずに見切り発車したと言わざるを得ず、今回の返金対応は想定内の展開との見方をする広告会社が多いと、米メディアは伝えている。

ネットフリックスもこの事態をある程度想定してか、広告主には実際にリーチした視聴者の分だけの支払いを求め、未配信分については払い戻すという異例の契約を交わしている。従来の米テレビ局の広告契約は、視聴者数が予想を下回った場合は追加の広告枠を提供することで穴埋めを図るが、それとは大きく異なる。広告会社各社は、「ネットフリックスの場合、広告の枠自体が不足しているため、返金に応じるしかない」との見方を表明している。

これについてネットフリックスはコメントを避けているが、約束した視聴者数の約80%しか達成できていないケースもあるという。米メディアによると、返金状況はケースバイケースで、未配信分について返金を要求する広告主もいれば、その分の2023年への繰り越しを要求する広告主もいるということだ。ホリデーシーズンに特化した、短期決戦の広告キャンペーンを展開する広告主は、その分を迅速に他のメディア広告にシフトするため、早急な払い戻しを要求しているという。一方で、ネットフリックスの広告事業が今後成長していくと楽観視する広告主も少なからずいて、こうした広告主は返金を要求していない模様。

苦しい立ち上がりとなった原因として、ネットフリックスが新しい広告入りプランを全面に押し出していないと、告知努力の不足を指摘する広告会社も多い。

当初65ドルで始めたCPMCost Per Mille1,000インプレッション当たりの広告単価)も、12月半ばで55ドル程度まで落としている。それでもDisney+50ドルを上回るため、今後さらに値下げされることが予測される。

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