テレビ朝日が製作したドキュメンタリー映画『ハマのドン』が5月5日(金)の東京・新宿ピカデリー、ユーロスペースなどを皮切りに、全国で順次公開となる。監督はテレビ朝日『報道ステーション』プロデューサーを務めた松原文枝。
本作の中心人物は"ハマのドン"こと藤木幸夫だ(=写真㊤中央)。横浜港の港湾荷役事業を行う藤木企業の会長を務め、歴代の総理経験者や地元政財界に顔が利く保守の重鎮。隠然たる政治力を持ち、菅義偉前総理の支援者でもあった。その藤木が、横浜港をめぐるカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致構想に反対し、2021年の横浜市長選でカジノ誘致に反対する候補を支援し勝利、カジノ誘致の国策を阻止するまでを描く。ものが言いにくい時代といわれる中、藤木を中心に人々がどのように闘ったのかが記録され、カジノ構想に反対する市民と、その声が届かない現状、カジノの実態、港の歴史とともに藤木の人物像が重層的に描かれる。社会を根元から変えるかもしれない出来事に向き合う姿を通じ"民主主義とは何か"、そして今の政治を変えるためには何が必要かを考えさせる作品になっている。
<映画『ハマのドン』©テレビ朝日 hama-don.jp、5月5日から順次全国公開。右=松原監督>
横浜港のIR誘致構想をめぐる動きについては、監督はストレートニュースで都度、伝えてきたが、2019年に取材を始めた当初は「事態がどのように動くか、決着を予想できなかった」と振り返る。取材の成果は「テレメンタリー」で伝え(2021年度テレメンタリー最優秀賞)、2022年には民教協スペシャルで放送した。テレメンタリーでの放送後の反響が大きく、映画化に踏み出した。テレビ局には膨大な取材映像があり、特に在京テレビ局には国会取材などの貴重な映像もある。「こうした財産を活かして、次代につながる何かをより多くの人に伝えるうえで映画化には意義がある」と監督は語る。
「人心が動くということ、人と人のつながりで物事が動いていく過程から、政治は自分たちの手にあるということ、そして社会の守っていかなければいけないものを、多くの人に感じ取ってほしい」と監督は語る。本作を通じてメッセージを受け取ってほしい。
5月5日(金)と6日(土)には、松原監督と江口英明プロデューサー(テレビ朝日)による舞台あいさつを予定している(下記)。5月8日(月)以降は、松原監督とゲストとのトークイベントが随時開催される。ノンフィクションライターの森功さん、元朝日新聞特別編集委員の星浩さん、日刊ゲンダイ編集局長の小塚かおるさん、評論家の佐高信さん、松坂大輔選手を育てた横浜高校野球部元監督の渡辺元智さんらとのトークイベントが予定されている。詳細は公式サイトをご確認いただきたい。
注:それぞれ上映終了後に実施
5月5日(金)
10時00分の回=ユーロスペース、11時40分の回=横浜ブルク13、16時30分の回=横浜シネマ・ジャック&ベティ、17時45分の回=横浜シネマリン
5月6日(土)
10時30分の回=ユーロスペース、12時10分の回=横浜シネマ・ジャック&ベティ、14時00分の回=横浜シネマリン