ラジオ局主催の夏の野外音楽フェス 地域メディアとしてリスナーや地元に貢献 エフエム長崎、エフエム栃木、茨城放送

編集広報部
ラジオ局主催の夏の野外音楽フェス 地域メディアとしてリスナーや地元に貢献 エフエム長崎、エフエム栃木、茨城放送

今年の7―9月にかけて開催されたラジオ局主催の野外音楽フェスティバルのうち、エフエム長崎「SkyJamboree」、エフエム栃木「ベリテンライブ」、茨城放送「LuckyFes」を取り上げた。新型コロナの5類移行後初めての開催であり、例年より気温が高かった今年の夏。昨年や例年から変更した点や、ラジオ局が野外音楽フェスに取り組む意義を聞いた。※冒頭写真=LuckyFes

エフエム長崎「SkyJamboree」

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エフエム長崎は8月20日に「SkyJamboree2023」を長崎市・稲佐山公園で開催した。1万人分のチケットは完売で、VaundyやSUPER BEAVERなど、若年層に人気のアーティストが出演したこともあり、学生の参加も目立ったという。また、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の主題歌である、10-FEETの「第ゼロ感」のヒットにより、例年よりもファミリー層が多く、幅広い層が来場した。事前や後日には関連特番を放送。キャスティングやチケット販売、行政との調整などすべて同社が担当しており、イベンターや行政、消防警察との協力によって実施できているという。村川和彦常務取締役は「この街の一大イベントとして地域に認めてもらえているからこそ協力を得られている」とコメントしている。

「~one pray in nagasaki~」をテーマに音楽と平和を発信してきた同フェスは、1999年にスタートし、今年で23回目。新型コロナの影響で2020、21年は中止となり、22年はマスク着用や飲酒禁止などのルールを設け、人数を制限した。今年は、マスクの着用は個人判断とし、観客の声出しやアルコールが解禁となった。また、例年よりも気温が高かったため、早くから入場した人には経口補水液500mlを配布。休憩テントも2019年の2倍に増やした。医師4人、看護師4人、救護アルバイト6人という体制をとり、冷房の効いた大型バスを待機させて退避場所とした。また、会場のごみの分別や回収はクリーンボランティアチーム「ECO ROCKERS」が担当。チームの運営費を集めるためにクラウドファンディングを実施した。

オフィシャルTシャツのデザインを公募するコンテストやキャンペーンカー、地元企業とのコラボグッズ、ポップアップショップなどを展開したことから営業収入も好調だったという。村川氏は同フェスについて「ラジオは『わたし』と『あなた』1対1のメディアであり、私たちラジオマンはこのつながりを最も大切にしている。SkyJamboreeの運営でもそうありたい」としたうえで「主催者の思いが出演者や参加者の心を動かす。フェスを開催する意味を持つことが大切だ」とコメントした。

エフエム栃木「ベリテンライブ」

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エフエム栃木は9月9、10日に「ベリテンライブ2023Special」を真岡(もおか)市の井頭公園で開いた。台風13号の影響が心配されていたが、両日とも無事に開催。同局で番組を持つ秋山黄色など20組のアーティストが出演し、大トリはCreepy Nutsが務めた。2日間で約2万4,000人を動員。参加者は20代、特に女性が多かったという。2003年にスタートし、20、21年を除き毎年実施している。今年から声出しを解禁したほか、動員数の制限も解除。熱中症対策としてミスト扇風機や休憩エリアを増設し、ソフトドリンクに特化した販売所を置いた。また、今年もプラスチックごみの削減に向けて、「プラごみゼロプロジェクト」と題し、会場内の飲食物などの提供には紙食器を使用するよう全店舗に推進した。

当日は、出演アーティストによる公開トークショーを開催。当日の模様を振り返る番組を20時から編成し、その中でトークショーの一部を紹介するなど放送との連動も図った。また、他企業などの連携も。会場である井頭公園や、真岡井頭温泉など計5つの施設が集まるエリア「いがしらリゾート」とタイアップし、リラックスゾーンを展開。ハンモックやミストのほか、子どものためにピンポンゲームや水鉄砲などのあるレクリエーションコーナーを設けた。ARアプリ「XR City」と連携し、オフィシャルグッズのデザインを3DCG化し、写真や動画が撮れるARフォトスポットを3カ所設置した。

また、8月28日から9月3日の計7日間は、宇都宮市のライブハウス「HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2」でも音楽ステージを開催した。9月19、20日にはそのダイジェストをオンエア。出演アーティストの楽曲をまとめたプレイリストをSpotifyで公開している。運営責任者は同フェスについて「音楽を発信する地域メディアとして、アーティストとの出会いの場を今後も創出していきたい」と話した。

茨城放送「LuckyFes」

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茨城放送は7月15―17日に「LuckyFes'23」をひたちなか市の国営ひたち海浜公園で開催。ロックバンドやヒップホップグループのほか、大黒摩季さんや相川七瀬さんなどバラエティに富んだアーティストが登場した。来場者数は3日間で約4万2,000人。茨城からの参加者が約半数で、それ以外の関東地方が約40%、他の地域が約10%で、小学生以下の子どもから70代まで幅広い年齢層が参加した。

22年、同会場で開催していた「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」の千葉への移転を受け、「茨城のフェス文化の灯を消すな!」を合言葉にスタートした同フェス。経験やノウハウがないなかで開催した昨年に比べ、今年はキャスティングや会場設営、関係各所との調整をスムーズに行えたという。声出しを解禁したほか、前方エリアを先着順に。熱中症対策としては救護室を拡大して救護体制の強化のほか、参加者のテントエリアを拡大した。また、「LuckySpace」というエリアを設け、同フェスにゆかりがあったり、子どもに人気のあるアーティストが演奏や公開生放送を行った。他にも、現地レポートや出演アーティストのコメントを収録し放送した。

チケットは通常販売に加え、開催地であるひたちなか市のふるさと納税の返礼品としても提供。ローカルパートナー連合を編成し、地元企業との協力体制を築くことで地域経済への還元を図った。その努力が結実し、売上は昨年から倍増したという。総合プロデューサーの堀義人氏は「今回はまだ赤字だが、来年には黒字化できるめどが立ってきた」とコメント。来年にはエリアを拡大し、観客動員を最低でも倍増することを目標としている。参加者へのアンケートに記載された改善希望は可能な限り反映する予定で、写真や動画撮影が可能なアーティストの明示や、熱中症対策のためのアイスステーションやミストエリアなどを検討している。

堀氏は「ラジオ局は広告収入を主な収益源としているので景気変動に左右される。果敢にフェスやコンサートなどのイベントを主催し、広告主とユーザーの双方から安定的な収入を得て『地方メディアの魁(さきがけ)モデル』を打ち立てたい」と意気込む。また、同フェスについては「メディアと連動した『アジア最大のマルチ世代向けテーマパーク型クロスオーバーフェス』を目指す」とコメントしている。

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