番組アーカイブへのアクセスポイント全国拡大に向けて ~放送番組センター「番組アーカイブネット」の開設~

斎藤 信吾
番組アーカイブへのアクセスポイント全国拡大に向けて ~放送番組センター「番組アーカイブネット」の開設~

放送番組センターでは、新たに「全国放送番組アーカイブ・ネットワーク(略称:番組アーカイブネット)」のサービスを開始しました。

当センターが運営する横浜の「放送ライブラリー」では、過去に放送されたテレビ・ラジオ番組を中心に約39,000本を一般公開していますが、「番組アーカイブネット」は、これら番組の一部を全国各地の図書館など公共施設に設置されたPCで視聴可能にするサービスです。

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新たな時代に応じた「事業方針」の転換

放送番組センターでは、5年間の事業方針を立て、これに基づき事業を進めていますが、2023年度からの新たな「5か年の事業方針」では、当センターの最大の資産である「番組アーカイブ」をより効率的、効果的に運用・活用し、更に多くの人に番組アーカイブに接していただくよう、放送ライブラリーを拠点にして、IT技術も活用した番組公開手法の拡充を図ることとしており、その一環として、「アクセスポイントの全国拡大」が掲げられています。

これまで番組の視聴については、基本的に放送ライブラリーの施設内に限定されていました。しかしながら、放送番組は社会共有の文化資産であり、それらを社会に広く還元するため、より多くの人が番組に触れられる機会を設けることは、当センターの重要な役割であると認識しています。これを踏まえ、放送史に残る秀作番組やローカル局制作番組、テーマ性のある番組をより多くの方々に利用していただくような仕組みを構築するべきとの観点から、その手法について検討を重ねた結果、全国の図書館など公共施設を拠点として、番組アーカイブへの接触機会の拡大を図ることとし、今回、「番組アーカイブネット」という新たな枠組みでのサービス提供を開始するに至りました。

 既存の「全国展開事業」との違い

当センターではこれまでも、「全国展開事業」として、一部の公共施設で施設側の求めに応じて放送ライブラリーの公開番組を提供する「サテライト・ライブラリー」というサービスを実施してきました。このサービスは、各地の公共施設が設置したPCから放送ライブラリーのサーバーにアクセスし、番組を視聴するという仕組みは「番組アーカイブネット」と同様ですが、視聴可能な番組については、先方の要請に応じて提供することから、施設ごとに視聴できる番組が異なること、また、基本的には公共施設側が主体的に運営を担うため、当センターが運営に参加できず、見てもらいたい番組があったり、利用者が少ない場合にもコミットできないといったデメリットもありました。

それに対して「番組アーカイブネット」は、視聴可能な番組を共通化することや、運営についても当センターが主体的に行うことから、より「見せたい番組」をラインナップできたり、利用促進のための働きかけなどもできるようになるという違いがあります。

全国初の「番組アーカイブネット」開設(郡山市中央図書館)

2023年9月1日には、福島県の郡山市中央図書館で全国初となる「番組アーカイブネット」が開設されました。オープン当日には、地元テレビ局や新聞各紙が取材に訪れ、大変な賑わいになりました。品川萬里・郡山市長も図書館を視察に訪れ、実際に番組アーカイブネットによる番組視聴を体験しました。

地元メディアの取材に対し、品川市長は「子どもたちに歴史の勉強もかねてよく見てもらいたい。映像を通じた学習の素晴らしい機会になる」と感想を述べ、取材終了後も、熱心に地元・郡山に関連する番組に見入っていました。

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 「番組アーカイブネット」により放送事業への貢献を図る

9月1日時点で視聴可能な番組は121番組(テレビ106番組、ラジオ15番組)ですが、段階的に番組を追加し、5年後には約500番組とする予定です。また、番組アーカイブの設置個所についても、全国各地の拠点都市を中心に5年で10カ所程度を見込んでいます。

当センターとしては、今後も視聴可能な番組の増強を図り、地域番組や視聴ニーズのある番組を積極的に提供すること、全国各地のローカル局制作番組を視聴サービスで提供することを通じて、地域への貢献とローカル局制作番組の発展など、放送事業への貢献を図っていくことにしています。

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