テレビ局が取り組む地域課題① 子どもや子育て世代に寄り添う/こども食堂の周知

編集広報部
テレビ局が取り組む地域課題① 子どもや子育て世代に寄り添う/こども食堂の周知

民放onlineは地上テレビ127社に、「地域課題解決に向けた取り組み」についてアンケートを実施。回答があった中から一部の事例を3回にわたって紹介する。今回は、子育ての悩みや、子どもに対して無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供する「こども食堂」に関する取り組みを紹介する。


テレビ西日本は開局65周年を機に2023年4月から、子どもの成長と子育てをサポートする「こどもにピタッと。プロジェクト」に取り組んでいる。地元の子育て環境の改善に向けて情報ワイド番組でコーナーを放送。平日朝ワイド『ももち浜ストア』は親子で楽しめるグッズや施設、イベントの情報を、平日夕方ワイド『報道ワイド 記者のチカラ』では子育ての悩みや、その解消に向けて活動する団体などを取材している。

また、11月に実施したイベント「ピタッと。TNCまつり2023」では、紛争地で壁画を描いて人々を励ます活動を続けているアーティストのミヤザキケンスケ氏とともに、子どもに平和を伝える2つのプロジェクトを実施。「絵本プロジェクト」ではウクライナのシンボルであるひまわりをテーマとした絵本を作り、同局アナウンサーによる読み聞かせ会を開いた。「壁画プロジェクト」では、ミヤザキ氏がウクライナで描き、その後ロシアの砲撃で破壊された壁画を、TNC放送会館に復活させた(=冒頭写真)。制作には地域の子どもたちやプロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」の選手らも参加し、元のイラストに福岡らしいアレンジを加えた壁画が完成した。

福島中央テレビは2023年4月に「ふくしま子育て応援隊~smile&smile~」プロジェクトをスタ―ト。「子どもとママ・パパを笑顔にしたい!」を合言葉に、福島民友新聞社と共同で取り組んでいる。始めた経緯としては「福島は子育てに優しいところ」「福島で子育てするのが楽しい」と思ってもらうこと。平日夕方ワイド『ゴジてれChu!』で月1回のコーナーを設け、ママ・パパの子育てにおける悩みへの対応策や、子どもの心身の健康に関する情報などを紹介している。

あわせて、イベントも展開しており、6月にオープニングイベント「ママ・パパ・キッズ集まれ!~みんなで遊ぼう、話そうフェス~」を実施。このほか、日本テレビ系『24時間テレビ46 愛は地球を救う』や地域の祭りにもブースを出店し、子どもたちが楽しめるコンテンツを展開。また、LINEのオープンチャットで「Smileルーム」を展開し、子育て中の人たちが情報交換や相談などを気軽にできる場を提供。チャットの中には、取材やイベントのヒントになる話題もあるという。「子育てはママ・パパだけでなく、自治体、企業・団体の全員で関わっていくもの。もっともっと子育て応援隊の仲間づくりをしていきたい」とプロジェクトチーム全員が同じ思いで取り組んでいる。

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<「ふくしま子育て応援隊」>

鹿児島放送は開局40周年を迎える前年の2021年に、地域の人に感謝する「39(サンキュー)キャンペーン」を展開。その一環で、平日夕方ワイド『Jチャン+』で毎週金曜に特集「週刊こども食堂」を始めた。鹿児島では2017年にこども食堂がスタートしたが、コロナ禍の影響などで人が集まりにくく、支援活動が停滞することもあった。同特集では、こども食堂の具体的な開設の日時と場所、活動の様子などを伝えた。

さらに2022年10月から毎月1回の特集「こども食堂ぷらす」で支援する人々や企業・団体の活動を紹介している。特集を始めて以降、県内のこども食堂の登録数は約80から約150と2倍近くに増加。後田竜衛・執行役員報道情報センター長兼SDGs推進室長は「こども食堂の主宰者への取材を通じ、これまで見えていなかったニーズや社会問題に気づき、取材者としての視野が広がった」とコメントしている。

また、2023年1月にはイオンモール鹿児島でイベント「鹿児島こども食堂応援団!」を開き、講演やパネルディスカッション、同局アナウンサーによる絵本の朗読会も行った。2023年7月には、「かごしまこども食堂支援ネットワーク『たくして』」と県によるイベント「こども食堂ワークショップ」に参加し、放送局の取り組みや番組を紹介したほか、社内でフードドライブを実施するなど、社内外へ活動の輪を広げている。後田氏は「現在は情報提供が主なため、今後は子どもや保護者と本音でコミュニケーションできる取材の必要性を感じている。ニーズや社会問題を深堀りした企画を検討していきたい」と意気込む。

<「鹿児島こども食堂応援団!」>

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