北海道文化放送 初の映画『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』 全国で順次公開中

編集広報部
北海道文化放送 初の映画『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』 全国で順次公開中

北海道文化放送(UHB)が制作した初の映画『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』が、1月2日の東京・ポレポレ東中野、1月6日の北海道・シアターキノなどを皮切りに全国で順次公開されている。

北海道根室市を拠点としたアマチュアプロレス団体「新根室プロレス」(=冒頭画像)。その創設者で2020年9月に55歳で亡くなったサムソン宮本氏の半生と、その想いを継いだメンバーのその後を描いた。UHBが21年12月に放送したドキュメンタリー番組『無理しない ケガしない 明日も仕事 ~新根室プロレス物語~』の内容を中心に、番組放送以降の団体の動きやコロナ禍のメンバーの生活などの追加取材を加え、再構成した79分。監督は湊寛氏、プロデューサーをUHBの吉岡史幸氏が務めた。

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<本作の主人公、サムソン宮本氏>

番組制作のきっかけは、吉岡氏が自社の夕方ニュースの企画として放送したサムソン宮本氏のインタビューをたまたま目にしたこと。本編中にも出てくるシーンで、根室在住でUHBの契約カメラマンの芦崎秀樹氏から「根室に文化を作ってくれた」と言葉をかけられたサムソン宮本氏が被ったマスクの奥で涙を浮かべ、その目元をズームした映像が印象に残ったという。

サムソン宮本氏が亡くなった後、19年からカメラを回していた芦崎氏から番組化の相談を受けた際、「あのインタビュー素材があればできる」と思ったという吉岡氏。さらに、撮影された素材を見返していく中で、"元いじめられっ子"や"元引きこもり"、うつ病患者などのメンバーたちがプロレスラーとしてマスクをかぶり、別の自分を演じることで自分の生きがいや居場所を見つけ、周囲の人たちを楽しませる姿に"ひとつの幸せ"のあり方を感じ、番組化に至った。

番組は、ギャラクシー賞の奨励賞や日本民間放送連盟賞番組部門のテレビエンターテインメント優秀を獲得。プロレスが題材ではあるものの、家族や仲間との絆、疲弊した地域の活性化などさまざまなテーマを内包していることから、吉岡氏は「番組の内容をベースにしたドキュメンタリー映画なら、低予算でも制作が可能で、全国の幅広い層の方々に見てもらえるのでは」と考え、22年の秋に沖縄テレビが制作した『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(2020)の配給を担当した太秦に映画化の話を持ち込んだ。

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<映画ポスターと吉岡史幸氏>

映画版では、サムソン宮本氏の死から3年が経過した22年に新根室プロレスのメンバーが東京・新木場で行った興行や、それまでのメンバーの生活などを新たに加えている。

また、テレビ版は芦崎氏がナレーションを担当していたが、北海道のイントネーションが少し強かったため全国で上映される映画は、プロレス好きとして知られ、新日本プロレスの興行でリングアナウンサーを務めたこともある安田顕さんを起用。あわせて、安田さんがサムソン宮本氏として、天国から語りかける形式とした。

本作を「プロレス好きの人はもちろん、プロレスに興味がない人にも見てもらいたい」と吉岡氏。「日本最東端の町、根室で頑張る人たちを描いた。新根室プロレスのメンバーと自分が重なる瞬間があると思う。笑って泣けるエンターテインメントの王道で、見た後に少しでも活力を得てもらえたら」と話す。

23年12月の北海道放送(HBC)『ヤジと民主主義 劇場拡大版』から本作、そして北海道テレビ(HTB)の『奇跡の子 夢野に舞う』(1月20日公開)と在札3局の映画公開が相次ぐ。吉岡氏は、HTBの沼田博光監督とは同じ年に社会人となった"同期"。HBCの山﨑裕侍監督も50代で年齢が近く、昨年春に3人で盃を交わしながら「みんなで同時期に映画を公開できたら」と話をしていたら「意図せずこのようなタイミングになった」という。「50代が作った作品が、後輩たちの刺激となり、新しい作品作りやチャレンジの一助になったらうれしい」と語った。

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