民放連放送計画委員会は6月6日、「視聴データの周知広報と利活用に関するフォーラム」をオンラインで開催した。
冒頭、視聴データ利活用特別部会長の川島徳之氏(フジテレビジョン 専務)があいさつ。視聴データを活用することで豊かな放送文化に寄与する、と視聴データの意義を説き、本フォーラムを通じて、視聴データの分かりやすい告知に関して各社の理解の一助としてもらいたいと述べた。続いて、周知広報WG主査の松瀬俊一郎氏(テレビ朝日 IoTv局データソリューションセンター長)から、各社で放送・配信している「視聴データ利活用の周知広報に関する共通素材」(共通素材。写真㊦)の目的などを説明。2021年12月に策定した民放連「視聴データの取り扱いに関する基本的考え方」の「非特定視聴履歴を取得する各社において、視聴者への実効性のある告知を実施すること」を踏まえ、視聴者の理解醸成の取り組みの一環として制作したと述べた。
<放送・配信中の視聴データ利活用の周知広報に関する共通素材>
さらに、視聴データの利活用の事例として、▽在京5社の視聴データの取り組み、▽非特定視聴データ在阪連携技術検証実験、▽静岡朝日テレビにおける市・町単位での視聴状況分析事例――をテーマに、各放送局の担当者からそれぞれの取り組みが紹介された。
後半は、内山隆氏(青山学院大学 教授)、小林慎太郎氏(野村総合研究所 ICT・コンテンツ産業コンサルティング部パブリックポリシーグループグループマネージャー)、松瀬主査、江利川滋氏(TBSテレビ コンテンツ戦略本部総合マーケティング室担当局次長)が登壇し、利活用事例、将来像などの4つのテーマでパネル討議を行った(=冒頭写真)。小林氏は、「データを取得されることに抵抗感が高かった視聴者も、共通素材によって周知が進むと、受け入れやすくなると感じている」と共通素材を評価。複数人世帯で利用するテレビでの個人の同意取得への配慮、子どもの個人情報保護など、今後の課題を指摘した。また、参加者からの「視聴データは視聴率に代わる指標となるのか」との質問に、内山氏は「米国のトレンドとして、(情報の)粒度の高いビッグデータを重視する傾向が出ている。パネルとビッグデータを組み合わせる時代を想定してもらいたい」と提言し、「ようやくデータが未来の収入源になり始めた。放送局には安全に、視聴者から理解を得る形で、データを集めていただきたい」と激励した。
このほか、奥内哲也氏(〔一財〕放送セキュリティセンター〔SARC〕 常務理事個人情報保護センター長)から同団体の活動についてから報告があった。