ネット上のフェイクニュースなど 制度的対応含む総合的対策を提言 総務省情報流通健全性検討会とりまとめ案

編集広報部
ネット上のフェイクニュースなど 制度的対応含む総合的対策を提言 総務省情報流通健全性検討会とりまとめ案

総務省は719日、デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会とりまとめ(案)についての意見募集を行う旨を発表した。意見募集期間は720日から820日まで(外部サイトに遷移します)。 

同検討会は座長の宍戸常寿・東京大学大学院教授ら有識者20人を構成員とし、オブサーバーとして民放連、NHK、日本新聞協会ほかインターネット、電気通信事業関連団体なども参加。202311月の設置以降、計25回の会合を重ねて検討してきた。 

同とりまとめ案は以下の6章で構成され、デジタル空間を活用したサービスの普及・情報通信技術の進展等の状況や、デジタル空間における情報流通をめぐる新たな課題と各ステークホルダーによる対応状況を整理。大手プラットフォーム事業者を念頭に、「自主的な取組のみには期待できない状況であり、新たに具体的な対応が必要」とし、今後の対応にあたっての基本的な考え方(基本理念)、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた具体的な方策を示した。

  第1章:デジタル空間における情報流通を取り巻く環境の変化
  第2章:様々なステークホルダーによる課題への対応状況
  第3章:諸外国等における対応状況
  第4章:デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた対応の必要性と方向性
  第5章:情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方
  第6章:総合的な対策

掲載用枠あり 取りまとめ案概要1枚.jpg

<検討会とりまとめ案の概要 ※画像をクリックすると外部サイトに遷移します。>

このうち、「第5章:情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方」では、情報流通過程全体に共通する高次の基本理念として、▼表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた法の支配と民主主義の実現、▼安心かつ安全で信頼できる情報流通空間としてのデジタル空間の実現、▼国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力の3点を掲げ、あわせて「情報発信」「情報受信」「情報伝送」の情報流通の過程ごとの具体的な基本理念を明記。
そのうえで、政府、伝統メディア(放送、新聞等)、情報伝送プラットフォーム事業者、広告仲介プラットフォームその他広告関連事業者、利用者・消費者を含む市民社会――などの各ステークホルダーに期待される役割・責務を示した。

「第6章:総合的な対策」では、⑴普及啓発・リテラシー向上、⑵人材の確保・育成、⑶社会全体へのファクトチェックの普及、⑷技術の研究開発・実証、⑸国際連携・協力、⑹マルチステークホルダーによる連携・協力の推進、⑺制度的な対応を提言。制度面での検討を重ねてきたWG(ワーキンググループ)の議論を踏まえ、大規模な情報伝送プラットフォーム事業者を対象に、違法な偽・誤情報に対する対応の迅速化やそれらの情報発信を繰り返す発信者への対応、違法ではないが有害な偽・誤情報に対する対応など、「制度整備を含めた具体化を進めることが適当」とした。さらに、「広告の質の確保を通じた情報流通の健全性確保」や「質の高いメディアへの広告配信に資する取組を通じた健全性確保」にも言及し、後者については、広告主等の経営陣向けガイドラインの策定などを求めた。

松本剛明・総務大臣は同19日の会見で、「今回の意見募集を経て検討会の提言が正式にとりまとめられた後、制度整備を含めて総合的な対策を行いたい」と述べた。

 

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