米ディズニーは8月初旬、2024年度第3四半期(4〜6月期、通期は23年10月~24年9月)の決算でDisney+、Hulu、ESPN+あわせて63億7,900万㌦を売り上げ(前年同期比で15%増)、4,700万㌦(約68億円)の営業利益を上げたと発表した(冒頭写真はプレスリリースから)。旗艦配信サービスとして2019年にDisney+を開始以来、初の黒字に転換。前年同期は5億1,200万㌦の赤字だった。昨年7月からの4期累計で186億4,200万㌦の売上で、営業損失が1億8,700万㌦となっている。
24年度第3四半期の黒字は主に配信サービスの値上げから生じたもの。契約者数はHuluが90万人増えて5,110万人に、Disney+は全世界で70万人増の1億1,830万人だった。
こうしたなか、ディズニーは10月17日から配信サービスを月額1〜2㌦値上げする。Disney+の広告入りプランは月額7.99㌦→9.99㌦、同広告なしが13.99㌦→15.99㌦、Huluは広告入りが7.99㌦→9.99㌦、広告なしが17.99㌦→18.99㌦、ESPN+(広告入りのみ)も10.99㌦→11.99㌦となる。
値上げの目的は節約を求める視聴者に、いくつかのサービスをまとめて提供するバンドルサービスへの契約を促すこと。ディズニーが自社配信サービスのバンドルを提供するようになって久しいが、現行のDisney+とHuluの広告入りバンドルも10月から月額1㌦値上げされ10.99㌦になる。それでも単体契約が値上げされると、バンドルの"お得感"を強調できるとディズニーはみている。同じバンドルの広告なしプランは据え置きの月19.99㌦だ。さらにディズニーは、ワーナーブラザーズ・ディスカバリー(WBD)とも提携し、7月25日からDisney+、Hulu、MAXのトリプルバンドルも開始しており、ここでもバンドルプランによる割安感をもくろんでいる。
よくやく配信事業が利益を出し、映画制作事業も2億5,400万㌦の利益を計上し赤字から脱出したディズニーだが、24年第3四半期はテーマパーク事業が不振だったたこともあり、全体としては相殺する結果となった。