民放連は4月2日、会長・副会長で構成する緊急対策委員会(委員長=会長が兼任)を開催し、フジテレビの女性アナウンサーが番組の出演タレントから性暴力による重大な人権侵害の被害を受けた事案に関して、遠藤龍之介会長名の文書により同社に対し厳重注意を行った。あわせて、▶再生・改革に向けた取り組みの進捗状況や実施成果について適切な時期に報告すること、▶民放連が実施する人権意識向上の取り組みに積極的に協力すること――などを要請した。
緊急対策委員会では、フジテレビの清水賢治社長から、▶同社の第三者委員会による3月31日付の調査報告の内容、▶本事案に対する同社の対応状況について報告を受け、民放連の対応を決定した。
遠藤会長は緊急対策委員会において同社に対する民放連の対応を決定したことを踏まえ、同日付で会長を辞任した。次の会長が就任するまでの間、堀木卓也専務理事が会長の職務を代行する(既報)。
また、民放連は同日、会員各社に対し、人権尊重とコンプライアンスの徹底を文書で要請。同文書では、民放連が2023年12月に「人権に関する基本姿勢」を決め、民間放送の事業活動における人権尊重の重要性を再確認していることに触れたうえで、各社社内において人権尊重およびコンプライアンスの徹底に関する体制などの再点検を進めることを求めている。
なお、総務省は4月3日、フジテレビおよびフジ・メディア・ホールディングスに対し、厳重注意の行政指導を行った。両社の「人権・コンプライアンスに関する対応の強化策について」で示した対応の具体化と実施を通じた人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性の確保等を求め、特に経営陣の意識改革を強く要請。4月中に上記強化策の具体化について、さらに、その実施状況を3カ月以内に、それぞれ明らかにするとともに総務省への報告を求めた。
あわせて総務省は同3日、民放連にも①人権尊重、コンプライアンスやガバナンスに関する施策の実効性を確保するよう取り組むとともに、②この取り組みを会員各社に徹底するよう要請。また、NHKにも民放連への要請①と同様の要請を行った。