フジテレビ第三者委員会調査報告書公表 「業務の延長線上における重大な人権侵害」認定

編集広報部
フジテレビ第三者委員会調査報告書公表 「業務の延長線上における重大な人権侵害」認定

フジテレビジョン(以下、「フジテレビ」)およびフジ・メディア・ホールディングス(以下、「FMH」)は3月31日、元タレント(中居正広氏)と女性との間で生じた事案に関連した、2024年12月以降の一連の報道を受け設置した第三者委員会(委員長=竹内朗・弁護士・公認不正検査士)から調査報告書を受領し、公表した。

同報告書は、フジテレビのアナウンサーだった女性が中居氏によって「性暴力による被害を受けた」と認定。同社の業務の延長線上における重大な人権侵害とした。同社の対応については、中居氏の番組出演継続は間違った判断であったこと、被害者に寄り添わない二次加害にあたると指摘した。また、類似事案の調査結果や内部統制・コーポレートガバナンスの状況をまとめたほか、再発防止に向けて▼ライツホルダー視点での人権侵害の被害者への対応、▼人権尊重を基軸に据えた事業と経営の体制構築、▼取締役会および監査等委員会・監査役のコーポレートガバナンス機能の強化、▼メディア・エンターテインメント業界全体での協働――を提言した。

同日、第三者委員会は調査を担当した弁護士とともに記者会見(=冒頭写真)を開催し、報告書について説明した。竹内朗委員長は、類似事案を踏まえて「ハラスメントが蔓延している実態があった」「救済メカニズムが機能していない」と指摘。「今回の問題はフジテレビに限ったことではなく業界全体に横たわる問題という見方をした。業界全体での取り組みを進めてほしい」と述べた。

続いて、フジテレビおよびFMHも記者会見(=写真㊦)を行い、フジテレビの清水賢治社長(FMH次期社長)が出席。冒頭、清水社長は「一連の問題について第三者委員会からの指摘を真摯に受け止め、会社としての責任を痛感している」と発言。「会社としての救済が十分ではなかった結果、被害女性に対して大変つらい思いをさせてしまった」と陳謝した。

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その後、第三者委員会の調査報告書への受け止め、フジテレビおよびFMHの再生・改革に向けた取り組みを説明。①人権尊重の徹底、②企業風土改革、③ガバナンス強化、④未来を見据えた人的資本経営戦略――についてプランの概要とロードマップ(行動計画)を提示した。そのうえで「基本的人権を絶対に守るという覚悟のもと、今後あらゆる局面において、 明確な基準と透明な運用に基づいた対応を行う」「人権を軸に据えた改革を進め、メディアという公共財にふさわしい誇りと責任を胸に、歩み続けることをここに誓う」と述べた。

なお、フジテレビおよびFMHは3月27日、経営体制の見直しを決定し、取締役数の減員、過半数の独立社外取締役、女性取締役比率3割以上などとすることを発表していた。これにより、フジテレビは清水社長を除き、同日付で社内出身取締役が全員辞任した。

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