【メディアリテラシー】オンラインで知ろう!「テレビ局の仕事」福島中央テレビ社内見学

栁沼 香林
【メディアリテラシー】オンラインで知ろう!「テレビ局の仕事」福島中央テレビ社内見学

民放onlineでは、各社が実施しているメディアリテラシー向上のための活動を随時紹介していく(過去の記事はこちらから)。今回は、福島中央テレビが実施しているオンライン社内見学について執筆いただきました。(編集広報部)


コロナ禍に始めたオンライン社内見学

福島中央テレビでは、多くの子どもたちがメディアリテラシーを身につけ、テレビ局の仕事を学ぶことができるように、学校教育法に基づき、主に小学5年生を対象としたオンライン形式の社内見学・体験学習を受け付けています。毎年多くの小学校からお問い合わせをいただいており、2024年度は6つの小学校に体験していただきました。

このオンライン社内見学は、2022年から実施しています。会社見学は以前から実施していましたが、コロナ禍に、リアルでの実施が難しくなった状況でも、見学を希望する各学校からの要望に応える方法はないか検討し、オンラインでの実施に踏み切りました。2022年から2024年までに参加していただいた学校の数は23校に。当初は県内の小学校から始まりましたが、いつしか北は北海道から、南は広島県まで、全国各地から申し込みがきています。

例えば、北海道の小学校からは「福島県内の被災地の復興の様子を知る機会にもしたい」というお話をいただき、児童の皆さんが北海道と福島の関係を調べて当日の体験に臨むなど、積極的に参加してくれました。受け入れ前は、福島県のテレビ局が制作する番組やアナウンサーを知らない状態で、有意義に学び楽しむことはできるのか? と若干心配でしたが、それは杞憂に終わりました。

オンライン見学のメリットは、どんなに距離が離れている学校でも、人数を制限することなく参加できることです。県内の遠く離れた学校からも、オンライン見学であれば参加しやすいという理由で選んでいただけているようです。コロナ禍が終わった今も、テレビについて学びたいと思っている全国の学校を受け入れることができています。

オンライン画面 報道フロア2.jpg<オンライン画面 報道フロア>

まずは報道フロアから

オンライン社内見学の流れは、まず報道フロアから。案内係のアナウンサーが、記者、デスク、CG担当らの動きを紹介し、「ニュースができるまで」を学んでもらいます。ちょうど昼ニュースを放送する直前の時間のため、当日のニュースを担当するアナウンサーや、原稿をチェックするデスクにインタビューをすることも。フロア内にある情報カメラをつかって天気カメラを一緒にのぞいて、映っているのがどこの景色かを予想してもらったり、ニュースセンターの背景を合成してアナウンサー体験をしてもらったりもしています。体験する代表の生徒に事前に原稿をお渡しして、実際のニュースを読んでもらいますが、児童の皆さんはアナウンサーになりきり、大きな声で元気に読んでくれます。オンラインでも一方的にならず、まるでその場にいるかのようにコミュニケーションをしながら進行することで、「テレビ局に来たかのように感じた」という声をいただいています。

また、私たちが最も大切にしていることの一つが、災害報道についてお伝えすることです。2011年の東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故から2025年で14年となります。最近でも、能登半島地震、鹿児島県のトカラ列島近海の地震などの大きな地震が発生しています。震災・原発事故を経験していない児童の皆さんにとっても、防災への知識・意識をもっていただくため、また「有事の際に県民の命と財産を守る」という地元放送局の役割を認識してもらうために、2011年の震災当時の映像や、緊急時の対応・緊急時に備えた訓練を普段から実施していることなどをお伝えしています。

【差替】オンライン画面 メディアリテラシーVTR.jpg<オンライン画面 メディアリテラシーVTR>

報道フロア見学の後は、メディアリテラシーに関するVTRを視聴します。SNSでの発信でプライバシーを守るために気を付けるべき点や、情報が正しいかどうかを判断することの大切さなどをお伝えしています。インターネットやSNSに触れることが当たり前の環境で育った児童の皆さんにとって、具体的に何に気を付けてSNSを使うべきなのかなどを、メディアデザイン部の社員とアナウンサーが説明しています。例えば、「うそや偽の情報・間違った情報=フェイクニュース」「インターネットに上がった画像や映像は完全には消すことはできない」ということなどを、動画を通してお伝えしています。

オンライン画面 ゴジてれChu!スタジオ.jpg

<オンライン画面 『ゴジてれChu!』スタジオ>

VTRが終わると、スタジオ見学へ。スタジオ照明やスタジオカメラを実際に動かしながらクイズに答えてもらったり、当社で平日午後3時50分から放送している「ゴジてれChu!」の大人気コーナー「どきどきサイコロゲーム」を体験したりしてもらいます。一通りの体験が終わった後は、質問の時間を設けています。「取材のときの質問は、事前に考えているのか」「生番組のCM中は何をしているのか」「速報が入ってから放送するまでどのくらいの時間がかかるのか」「原稿を書くのにどのくらい時間がかかるのか」などなど、質問が具体的で、テレビに関することをしっかりと勉強した上で見学に臨んでいるのだなと毎回感心させられます。

小学校でオンライン社内見学に参加している様子.JPG<オンライン社内見学に参加している小学校の様子>

テレビの楽しさ・重要性を伝えたい

当社のオンライン社内見学には部署の垣根を越えてたくさんのスタッフが関わっています。報道フロアからスタジオ見学まで案内するアナウンサー、報道部の記者やデスク、スタジオカメラマンや照明、音声、技術スタッフ......テレビ放送が多くのスタッフの仕事で成り立っていることを知ってもらう機会にもなればと思っています。動画投稿サイトや配信サービスなど、テレビ以外の娯楽やコンテンツが増え、テレビをみる時間は、若者を中心に減ってきています。テレビが無い家庭もあるなど、テレビ離れが加速している昨今ですが、オンライン社内見学を通して、少しでもテレビの楽しさ・テレビ放送の重要性について学んでもらえればと願っています。

最新記事