中国放送(RCC)のドキュメンタリー映画『104歳、哲代さんのひとり暮らし』が1月末に先行公開した広島に続いて、4月18日から順次全国で公開されている。
本作は、広島県尾道市で100歳を超えてひとり暮らしを続けている石井哲代さんの101歳から104歳までの日々を見つめた。よく笑い、よく話し、そして老いを受け止めしなやかに暮らす哲代さんの姿を映したドキュメンタリー。ナレーションを俳優のリリー・フランキーさん、監督はRCCフロンティアの山本和宏さんが務め、RCCの岡本幸さんが統括プロデューサーを担当した。RCCがドキュメンタリー映画を制作するのは今回が初めて。
哲代さんは、1920年生まれ。20歳で小学校の教員となり、退職後は民生委員として地域に尽くしてきた。83歳で夫を見送り、ひとり暮らしに。100歳を迎えたころから地元メディアで取りあげられてきた。山本監督がRCCの夕方のテレビ番組の企画として、哲代さんが当時101歳だった2022年3月に取材を開始。近所の方や親戚と語り合う日常を撮影してきた。哲代さんをはじめとする関係者に少しでも早く映画を見てもらえるように、広島での先行公開の形を取ったという。
シネスイッチ銀座で4月19日に舞台あいさつが行われた。岡本統括プロデューサーは、「夕方の番組での企画を重ね、それをまとめた特番も放送したが、1回の放送だけではもったいないと思い、映画化に至った」と説明。取材のきっかけについて山本監督は、100歳まで生きたいと思う人は日本で2割くらいということで、「少ないと思いながらも、自分もそうだと思った。100歳を超えて楽しそうに生きている哲代さんに話を聞こうと思った」と語った。また、司会者から撮影をとおして年齢を重ねることのイメージが変わったかと問われると、「長生きをすると想像しえない幸せな出来事に出会えると哲代さんに教えられた気がする」と答えた。
<山本和宏監督㊧と岡本幸統括プロデューサー㊨>
岡本統括プロデューサーは民放onlineの取材に対し、「ドキュメンタリー映画は権力や病気との戦いを描いた骨太なものが多く、映画制作には不安があった」と吐露。それでも「本作の制作・公開を通じて、普遍的な価値があると思えた」と振り返り、全国の番組制作者に向けて、「もう一歩深く取材し、長く撮影することで、普段放送している企画の中には、映画化に手が届きそうな素材はもっとあるという気持ちになれる。それは地域に関係なく、どこでもできる」とエールを送った。
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