米RSNビジネスモデルに転機 シンクレア傘下企業が破産の危機 WBDも手を引く構え

編集広報部

米シンクレア・ブロードキャストグループ傘下で、地域向けスポーツコンテンツの提供を行うリージョナル・スポーツ・ネットワーク(RSN)事業を展開するダイヤモンド・スポーツグループが3月初旬現在(現地時間)、1億4,000万ドルに及ぶ利子を期限内に支払えず、破産の危機に瀕している。同グループは、シンクレアがディズニーから買収した計21RSNの受け皿として創設され、現在42のプロスポーツチームのローカル中継権を有する。同グループ傘下のバリー・スポーツでは昨年、配信サービスを開始したばかりだ。

米メディアはこれをシンクレア単体の問題とは見ておらず、テレビ・スポーツ業界全体に影響が及んでいると指摘。従来の"ドル箱"とされてきたRSNのビジネスモデルが、コードカットの急速な進行や高騰する中継権料を背景に大きな転機が訪れているとみている。

シンクレアが破産回避に躍起になる中で、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)も、RSN事業から手を引く構えを見せている。WBDの収入源は主にプロスポーツリーグ52チームの試合中継によるものだが、この52チーム中42チームがバリー・スポーツを通じてダイヤモンド・スポーツグループの破産危機の影響を受けていることが背景にある。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、WBD傘下でRSN事業を手がけるAT&T SportsNetが2月末(現地時間)、MLB(メジャーリーグベースボール)、NBA(プロバスケットボール)、NHL(プロアイスホッケー)の複数のチームに対し、中継権料を支払う資金がないことと、親会社のWBDからの援助は受けられないことを通告。さらに各チームに対し、3月末日までに中継権の買い戻しを請い、合意に達しなければ破産申告をする以外に方法はないとの姿勢を示したという。

これらRSNの破綻に直撃されているのが、3月30日(現地時間)から今シーズンが始まるMLBだ。バリー・スポーツはMLB14チームのローカル中継権を有するが、各チームへの中継権料がまだ支払われていない。このままでは試合中継ができなくなるため、MLBのコミッショナーは2月末に会見を開き、「最悪の場合、14チームのうち13チームのデジタル配信権を有するMLBが自ら配信事業を展開する」と発表した。

追い打ちをかけるように、AT&T SportsNetからもチームが通告を受けたMLB。3月初旬、AT&T SportsNetと同じ地域でRSN事業を展開するコムキャストに中継権の引き継ぎを打診したが、コムキャストがそれを断った。この状況にMLBは、独自のローカルメディア部門を立ち上げることを表明。そのスタッフとして3人の元RSN幹部を雇用することとした。

つい4年前までは50%以上の利ざや(プロフィットマージン)を上げていたRSN事業だが、今は不況にあると言える。直近の四半期報告で、ディズニーはESPN傘下でRSN事業を担うSECネットワークの契約者数が2019年以降14%減を記録したとし、NBCURSN事業を行う5局の契約者数が21年の2,100万人から1,500万人(22年末現在)まで減少したと報告している。

大学スポーツリーグが所有するケーブル局Pac-12 Networksは、「ほかに中継権料を支払えるメディアはない」との理由で、アップルと配信契約を結ぶ可能性もあると伝えられている。放送局の独壇場だったRSN事業に配信サービスの参入が加速する昨今、今後の動向に注目が集まっている。

最新記事