各地の放送局と放送文化基金が共催する「制作者フォーラム」が、2024年9月から12月まで全国5地区(北日本、北陸・甲信越、愛知・岐阜・三重、中・四国、九州・沖縄)で開かれた。各フォーラムでは制作者同士の交流の場を設けることを目指し、若手制作者によるミニ番組コンテストと、ゲスト審査員のトークセッションが行われた。今回は「愛知・岐阜・三重」を紹介する。
なお、各地区から制作者が集う「全国制作者フォーラム」は2025年2月15日(土)、東京の如水会館で行われる。(編集広報部)
「愛知・岐阜・三重制作者フォーラム in なごや」は名古屋市の愛知芸術文化センター小ホールで2024年12月4日に開かれた。3県の全民放テレビ7社とNHK3局が協力し、約80人の制作者らが参加した。
恒例のミニ番組コンテストは各局の若手がレギュラーの情報番組や夕方ニュースの特集などで制作した15分以内の番組が対象。学校の部活動などを舞台にしたもの、スポーツや地元の伝統芸能、中高年の婚活密着リポートなどバラエティに富んだ10本が並んだ。
各番組を上映後、審査員の佐野亜裕美さん(ドラマプロデューサー)、高橋弘樹さん(映像ディレクター)、丹羽美之さん(東京大学教授)が講評。「ローカル愛にあふれた番組が多く、勇気づけられた」「各地の夕方ワイド番組ならではの醍醐味を感じられた」とローカル局の作り手に最大限の賛辞が送られた。質疑応答では番組の具体的な制作手法をアドバイス。BGMの付け方、ナレーションの入れ方、ワイプ映像の処理など、時間や予算に制約があるなかでさらに面白くするためのレシピをそれぞれが丁寧に指南した(写真㊦)。
審査の結果、優秀賞3本、放送文化基金特別賞1本が選ばれた(詳細および入賞作品の視聴はこちらから/外部サイトに遷移します)。2月15日の「全国制作者フォーラム」に招待される優秀賞3本は次のとおり。
【優秀賞】
▶CBCテレビ 濱崎みらのさん=『チャント! 僕たちのマヂでロックだった昼休み~マヂ学校に向かいます番外編~』
▶名古屋テレビ放送 石塚莉子さん=『ドデスカ+ 全盲の柔道家「右手で相手を読む」』
▶中京テレビ放送 齋藤竜星さん=『キャッチ! 特集「ひやむぎ選手権」』
受賞した3人は表彰式でいずれも取材対象者に恵まれたことへの謝意を述べ、次なる企画への意欲を語った(冒頭写真=左から濱崎さん、石塚さん、齋藤さん)。
トークイベントのテーマは「若手制作者に伝えたいこと」。審査員の3人それぞれが、20~30代の時期にどのようなことを心がけて自身の興味や関心をキャリアアップに結びつけたかを語るとともに、ゲストからも制作者に質問を投げかけながら双方向で進行した。働き方改革が進められるなか、こだわりのある「ものづくり」をどう実践していくか、仕事のプライベートのオン/オフの切り替えの仕方など作り手としての生き方にも踏み込んだ刺激的なトークが繰り広げられた。
さらに、フォーラムを振り返って「地元に根を張って取材している人にしか撮れないものが表現されていて、大きな刺激を受けた」(佐野さん)、「ローカルを極めることで作り手はより強くなれる。"脱東京""ローカルの時代"を皆さんで担ってほしい」(高橋さん)、「コンテストに出品した人だけでなく、各放送局の若手がもっと参加できるよう、このフォーラムを育ててほしい」(丹羽さん)といった期待が述べられた。