2022年秋のローカルテレビ改編(プライム・深夜帯) チャレンジを続け制作力高める

編集広報部
2022年秋のローカルテレビ改編(プライム・深夜帯) チャレンジを続け制作力高める

前回に続き、今秋のローカル新番組を紹介する。今回はプライム・深夜帯。制作者に挑戦の機会を与えるトライアル枠や、若者にフォーカスした番組のほか、テレビ社が共同制作に参加した人気任侠シリーズ初の地上波ドラマなどが並んだ。

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新企画に取り組む

新しい試みに取り組む番組が並んだ。IBC岩手放送『いわて見聞録』(最終土、25・28―25・58)は若手ディレクターがドキュメンタリーなどを制作する機会の創出が目的。地元の今を伝えるべく、県内の話題や人物を深掘りし、その背景や心情に迫る。初回の「立候補!37歳の初挑戦 ~選挙の今~」(=写真㊤)では、花巻市で市議会議員選挙に出馬した福田一馬さんに密着し、選挙のあり方を考えた。大志田融テレビ編成部長は「さまざまなテーマを扱っていきたい」としている。

新たなドラマ枠と、バラエティのトライアル枠を設けたのは関西テレビ。ドラマ枠『EDGE』はこれまでに蓄積した制作力を活かし、プライム帯とは異なるテイストの"エッジ"が効いた作品にチャレンジして制作力の発展や人材育成を狙う。この10月からは『合コンに行ったら女がいなかった話』(木、24・25―24・55)を放送している。単発番組枠『カンテレSEED』(日、24・30―25・00)は若手を中心に、社内外の制作者にチャレンジの機会を与えるためにスタート。企画募集には100を超える応募があり、制作意欲の喚起につながったという。同社は、生活者のファーストチョイスを得るために今後もさまざまな施策に取り組んでいくとしている。

テレビ神奈川は意欲的な番組に取り組む。『信長未満―転生光秀が倒せない―』(火、23・00―23・30)は、「戦国」や「織田信長」といった歴史ネタを扱う先行コンテンツとの差別化を図りドラマ内に、同社で以前放送していた『戦国鍋TV 〜なんとなく歴史が学べる映像〜』などで培ったバラエティ番組の手法を取り入れた。制作にはバラエティや特撮、音楽などさまざまなジャンルのスタッフが参加し、それぞれのノウハウを発揮している。また、同社はドラマ『この動画は再生できません』(日、24・00―24・15)もスタートした。10月のオンエアでは作品の説明なしに、さまざまなドキュメンタリー風のホラー映像を放送。11月に入って、それらの映像に隠された謎を解き明かすドラマを開始した。SNSでは番組構成に対する驚きとともに「過去の放送回を見返したい」などの声が寄せられている。

朝日放送テレビは平日深夜のバラエティ枠『ナイトinナイト』を改編。14年半続いた『今ちゃんの「実は...」』を終了し、芸人のかまいたちとゲストが"余談"を繰り広げる『これ余談なんですけど...』を組んだ。昨年1月から半年ほど放送し、再開を望む声が多かったことなどを受けて復活。『ナイトinナイト』では今後も10―40代をターゲットに、番組づくりを戦略的に考えていくという。

若者にエール届ける

若者に向けた番組が始まった。北海道放送は情報番組『ブラキタ』(第4土、11・59―13・30)の深夜版『夜のブラキタ』(木、24・56―25・26)を組んだ。深夜放送ならではのトライアル企画や、配信を意識した番組づくりを目指す。深夜版のスタートをきっかけにYouTubeチャンネルを開設し、MCを務めるアイドルグループNORDのファンを中心に若年層から支持を集めているという。田嶋慎一編成部主任は「『北海道放送=ブラキタ』というブランディングの構築を進めていきたい」と期待する。

2024年、日本でハンドボールのプロリーグが設立される。サンテレビ『レミたんのレッツ!ハンドボール!』(=写真㊦、金、19・55―20・00)は、ハンドボール元日本代表の"レミたん"こと土井レミイ杏利選手が兵庫や大阪のハンドボール部に所属する学生たちと一緒に魅力や楽しさを伝える。シュートやパスなどの基本的な動きの紹介に加え、土井選手が学生たちの悩みに対し、実演を交えてテクニックを伝授する企画も。YouTubeでのアーカイブ配信は18―24歳の視聴者が最も多く、若者から反響を得ているという。

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RKB毎日放送は頑張る若者と若者を応援する人に光を当てる『スポットライト』(火、25・25―25・55)をスタートした。何かに挑戦する若者をピックアップし、活動の目的や今後の展望などを、多彩な出演者たちが深掘りしていくドキュメントバラエティだ。YouTubeやTikTokなどのSNSにも力を入れ、Z世代を中心に幅広い世代の視聴者から反応がみられるという。Web3領域の専門メディア「あたらしい経済」の設楽悠介編集長がZ世代向けに「メタバース」や「NFT」などを解説するコーナーをはじめ、若い視聴者に向けた企画にも取り組んでいる。

地元の魅力を再発見

地元の魅力を再発見すべく、さまざまな手法で地域情報を取り上げる企画がみられた。今年4月に開局50周年を迎えた北海道文化放送は道内各地のPRを狙い、人気任侠シリーズ『日本統一』の製作委員会に加わり、『日本統一 北海道編』(=写真㊦、月、24・25―24・55)を開始した。13年にスタートし、オリジナルビデオ作品として60作を超える同シリーズでは初の地上波放送となる。同社は今作を通じてドラマ制作のノウハウを吸収し、スタッフの制作力や経験値の向上を目指す。大萱生剛編成部副部長は「道内各地でロケを行ったことで視聴者から反響を得ている。配信も好調で、共同制作の相乗効果が出ている」とコメントした。

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テレビ愛知『千原ジュニアの愛知あたりまえワールド☆~あなたの街に新仰天!~』(土、18301958)は一部の地域では当たり前の文化や風習など、ほかの地域住民が知らない情報を発信。視聴者から情報提供を募るほか、愛知の"あるある"川柳も募集しており、入賞作の一部は『愛知あたりまえ川柳~あた川~』(金、19552000)で紹介する。

地元の寺社仏閣の魅力を再発見するのは奈良テレビ『笑い飯哲夫のおもしろ社寺めぐり』(土、21302200)。社寺・仏教マニアの芸人の笑い飯・哲夫さんが独自の視点で、寺社仏閣を深く、楽しく解説する。BSよしもととの共同制作。

石川テレビ『探して!いしかわ×トーキョーなう』(日、25352605)は、現在東京で活動する地元出身のタレントの新田さちかさんが都内で石川に関連する人やものを発掘。東京支社の営業担当が主体で企画制作する初めてのレギュラー番組で、新たなスポンサーの獲得を目指していく。

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