2024年春のローカルテレビ改編②(プライム・深夜帯) 地元の魅力やブームを意識

編集広報部
2024年春のローカルテレビ改編②(プライム・深夜帯) 地元の魅力やブームを意識

民放onlineは今春のローカル新番組について、地上民放テレビ127社にアンケートを行った。この回答から今回はプライム・深夜帯を紹介する。お笑い芸人などを迎えて地元に特化した番組や、園芸やキャンプなどブームを意識したもののほか、エピソードに着目した番組が登場した。

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地元に注目

熊本県民テレビ『くりぃむしちゅーの熊本どぎゃん!?』(金〔月1回〕、19:00~19:56、=写真㊤)は、熊本県出身のお笑いコンビ・くりぃむしちゅーが東京で自慢できる熊本の人・モノ・場所を探すふるさとバラエティ。当初は多忙なスケジュールを踏まえて、くりぃむしちゅーが東京で映像を見る形式を提案したが、「月1回でもロケに来てやりたい」との言葉からオール熊本ロケに。平日夕方帯の情報番組を制作してきたスタッフが主に担当している。初回放送では、くりぃむしちゅーから閉店した店の名前が出たことで、ライブラリー素材や聞き込み調査で見つけ出したその店の写真や映像を届け、視聴者から「懐かしい」という声が寄せられた。「情報番組でやってきたことは決して無駄ではない」とプロデューサーを務めるコンテンツ戦略局制作部の東美希氏。「熊本の自慢できるところを紹介していきたい」と語った。

テレビ西日本は、地元の人たちと一緒に作る、地元を徹底的に深掘りするドキュメントバラエティ『じもちゃんねる』(火、20:00~21:00)をスタート。MCには地元在住目線で、ゴリけんさん、地元出身目線で吉瀬美智子さん、県外目線としてお笑いコンビのハリセンボンを起用し、3つの目線を取り入れた。スタッフが足で稼いで見つけた、この町では当たり前でも隣町では"非常識"な地元ならではの魅力を届ける。「福岡あるある」としてバスが多いことから、収録はローカル路線バスを貸し切り、地元を走りながら行う(=写真㊦)。バスの電光掲示板に番組名を表示させることで、移動スタジオ兼広告塔としての狙いも。制作部の大倉悠介氏は、「これからも地元で触れ合った人たちの生の声やリアクションを大切にしたい」とコメントした。

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札幌テレビ放送『道産人間オズブラウン』(日、23:25~23:55)は、お笑いコンビのオズワルドとトム・ブラウンの芸人4人が、北海道の魅力を発掘し、勝手に「オズブラ認証道産品」を選定するオールロケのバラエティ。テレビ埼玉が始めた『天竺鼠の川原の』(水、23:00~23:30)は、お笑いコンビ・天竺鼠の川原克己さんが埼玉を散歩する。チューリップテレビ『なすなかにしのバズっちゃ!~笑う富山に笑神様~』(第3水、19:00~20:00)は、お笑いコンビ・なすなかにしの2人が富山県内でロケを行い、地域の魅力を深掘りしながら、県民の夢や願いをかなえる。

園芸や"旅"

4月に開局25周年を迎えたとちぎテレビは社内コンペの企画が『U字工事と園芸』(火、19:30~19:45)として番組化された。コロナ禍以降、全国的にブームとなっている園芸業界に着目し、観葉植物、塊根植物、多肉植物などの育て方や楽しみ方、魅力を紹介する。"植物初心者"で栃木県出身のお笑い芸人・U字工事と、植物育成のプロの立場から県内園芸店のスタッフが出演。タイトルは"演芸(漫才)"と園芸をかけた。ファッション性、アート性の高い植物を取り上げているため、照明にもこだわり、解像度が高いカメラで撮影。そのため、本編より植物の撮影に時間がかかっているという。放送終了直後から同局のYouTubeで見逃し配信を行っている。

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CBCテレビ『地名しりとり~旅人ながつの挑戦~』(土、24:28~24:58)は、かつて同局の深夜番組『ノブナガ』で放送されていたコーナー企画で、今回は6人組グループ7ORDERの長妻怜央さんが挑戦している。街行く人と地名のしりとりをして、言われた場所には絶対に行き、ゴールとなる愛知・岐阜・三重3県の制覇を目指す。信越放送『キャンたび』(金、24:43~24:48)は、元料理人でキャンプ芸人の阿諏訪泰義さんが信州で楽しむアウトドアライフの魅力を紹介する。一方、山梨放送『行かない旅』(日、25:30~26:00)は、その名の通り、会議室でインターネット上の地図やグルメ情報などから旅の妄想を繰り広げるトーク番組。

スポーツ

フジテレビジョンは週末に行われたJリーグの試合を中心に伝える『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』(月、24:25~24:55)を始めた。かつて『すぽると!』内で放送していたサッカーコーナー「マンデーフットボール」が9年ぶりに復活。もちろん、ジョン・カビラさんによる選手紹介のコールも。2023年に現役を引退した小野伸二さんを起用し、試合結果だけではなく選手のプレーも解説。小野さんが選んだ今週の「ベタ褒め」プレーを紹介するほか、子どもたちにテクニックに関するお題を出題する。スポーツ局の植村敦氏は、「かつての伝統を継承しつつも、その進化版となるように意識している。地域に根差したJリーグの底上げ、ひいてはサッカー全体の盛り上げにつなげたい」と話した。

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<『MONDAY FOOTBALL みんなのJ』>

サッカーの情報を届ける番組はほかにもスタートしている。東日本放送『VIVA!VEGALTA』(木、23:10~23:15)は、Jリーグの「ベガルタ仙台」、テレビ愛媛『Go!Go!フットボールえひめ』(金、22:56~23:00)は、「愛媛FC」「FC今治」の試合結果や選手インタビューのほか女子サッカーや少年サッカーなども含めた地元のサッカー情報を紹介する。中京テレビ放送『MAKE IT!』(金、24:59~25:14)は、スケートボードやBMXなど、速さや高さ、危険さなどの"過激(エクストリーム)"な要素を持った「エクストリームスポーツ」にフォーカスし、そのアスリートたちに迫る。

エピソードに着目

琉球放送は、同局のラジオで放送した過去の番組から厳選したコーナーやフリートークの音源を使用し、番組パーソナリティーと一緒に"神回"の音源を振り返る『ラジオの神回テレビで語る』(金、24:43~25:13)をスタートした。2023年末に放送した特番が好評を得たことからレギュラー化に。収録はラジオのスタジオで行っている。飯島將太・報道制作局報道制作部チーフは、「ラジオの面白さを維持しつつ、テレビだからこその面白さを足すことが番組の意義。試行錯誤しながら制作している」と語る。事前にラジオ番組で、番組公式ハッシュタグを伝えることで、リスナーや出演者、スタッフなどがリアルタイムでテレビを視聴しながらSNS上でコメントする、ラジオのような楽しみ方も生まれているという。

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<『ラジオの神回テレビで語る』>

新潟テレビ21『マイ★メモリーズ ~ニイガタ・ワンダフル・ライフ~』(金、19:54~20:00)は、視聴者から寄せられたエピソードや思い出を、写真とマンガで構成した番組。テレビ大阪『ミタス ハンドメイドのある暮らし』(不定期)は、独創的で個性あふれるハンドメイド作品を生み出し続けるハンドメイド作家・クリエイターたちのインタビューを通じて、作品に込めた思いや日々の暮らしを紹介する。

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