総務省は「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」(以下、放送制度検討会、座長=三友仁志・早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授)が策定した「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第3次)(案)」(以下、第3次取りまとめ案)を10月24日に公表し、意見募集を行った(第3次取りまとめ案の概要は10月28日既報)。
また、総務省は「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」の改定案を同日公表し、意見募集を行った。第3次取りまとめ案の提言に沿って、AM局の運用休止に係る特例措置の適用期間を再度設けることを主眼とするもので、▶AM局の運用休止に係る特例措置の適用期間を2025年9月1日~2026年10月31日に再度設ける、▶適用の要件を緩和し、「radiko等のインターネット配信サービスによるカバーを考慮できる」ことを追加する、▶特例措置の運用休止を行ったAM中継局の廃局が可能となるよう、再度の適用期間終了後に制度整備を行う――ことなどが記載された。
民放連は両意見募集に対して11月15日に意見を提出した。概要は次のとおり。
【第3次取りまとめ案に対する意見】※民放連意見全文はこちら
①放送の将来像
▶放送の将来像に関する議論は民放事業・民放経営の根幹にかかわるものであり、結論を急がず、精緻な議論を尽くすべき。▶放送コンテンツ配信の著作権処理の円滑化、プロミネンス、視聴データ活用の環境整備などの検討にあたっては、広く民放事業者の意見を汲み上げ、丁寧な審議を行うよう要望する。
②小規模中継局等のブロードバンド等による代替
▶本取りまとめの提言を基に、社会実装に向けた検討がさらに進むことを期待する。▶地上基幹放送をIPユニキャストで代替可能とする場合の要件については、住民理解のプロセスにおいて総務省の協力、支援は必要不可欠であり、その実施と具体化を強く要望する。
③ラジオ放送における経営の選択肢
▶AM局の運用休止に係る特例措置については、特例措置の適用期間を再度設けるよう求め、世帯・エリアカバー率の算出にあたり聴取の実態を反映してradiko等のラジオ番組のインターネット配信を考慮することを含めて要件を緩和するとの提言に賛成する。▶FM転換(注1)及びAM局廃止(注2)については、民放事業者の要望等を踏まえた適切な内容であり賛成する。
このほか、「放送コンテンツを通じた我が国・地方の魅力の世界への発信を促進する方策の在り方」について、▶放送を含むコンテンツ産業の振興、▶高機能設備の利用・導入への支援、▶国際見本市等への出展支援の拡充、▶海外市場の情報把握を要望するなどしている。
【「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」改定案に対する意見】※民放連意見全文はこちら
▶AM局の運用休止に係る特例措置の再度の適用期間を設けるとともに、適用期間の延長を可能とする、▶特例措置の適用を受けるための要件を緩和する――などの施策を行うことに基本的に賛成し、特例措置の適用に当たっては、▶ラジオ各社の個別事情や要望に可能な限り配慮すること、▶最終的なFM転換の制度整備についてもできる限り早期に方針を示し具体化すること、を要望している。
注1「FM転換」=親局を含むAM局をFM方式に転換すること
注2「AM局廃止」=AM方式の親局を維持しつつもFM補完中継局を整備するなどしてAM方式による中継局を廃止すること