DirecTVがDishネットワークとの合併を断念 Dishの債権者から同意得られず

編集広報部
DirecTVがDishネットワークとの合併を断念 Dishの債権者から同意得られず

米国の衛星放送最大手DirecTVとライバルのDishネットワークが合併することで9月末に合意していたが、11月21日、DirecTVは合併を中止すると発表した(冒頭画像は同社のプレスリリース)。実現すれば、DirecTVとDish(+配信のSling TV)を合わせた総契約者数は2,000万人とケーブル最大手コムキャストの1,320万人を超える全米最大規模の有料テレビ事業者となるはずだった。

Dishの債権者から同意が得られなかったことが理由だという。両社の合併スキームは複雑で、2つの枠組みで進んでいた。一つは、DirecTVがDishの親会社EchoStarからDishと配信事業Sling TVを名目1㌦で買収し、同時にDishの負債約98億㌦をDirecTVが引き受ける債務交換取引。実現には政府の認可に加え、Dishの債権者の同意を得る必要があった。しかし、DirecTVが実際に提示した金額は80億㌦と当初の20%減。Dishの債権者らがこれを拒否。そこで減額分を10%とする案を示したが、それも却下された。11月22日を最終期限に交渉が続けられたが合意に至らなかった。合併中止による違約金は発生しないという。

もう一つの枠組みは、DirecTVの親会社AT&TがDirecTVの株式を投資ファンドTPGに売却すること。TPGがDirecTVの100%株主となり、AT&Tはエンターテインメント事業から完全撤退するもので、こちらは2025年末までに予定どおり行われる。ただ、Dishの吸収で巨大衛星テレビ事業者化をもくろんだDirecTVとしては、引き続きライバルのDishとも競わなくてはならず、AT&Tが保有するDirecTV株のTPGによる買収にも影を落とすとみられている。

一方、一時は破産の危機にあったDishの親会社EchoStarだが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、この間に事業継続のための資金調達にめどがついたとして、DIshは単独ブランドとして運営していくと発表しているが、融資元などは明らかにされていない。

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