全米で導入が進む次世代テレビ放送規格(ATSC 3.0/NextGenTV)の普及率は、今年中に全テレビ市場の8割に達するとの見方がある一方、肝心の視聴者や小売店サイドの認知度が低いことも懸念されている。そこで、機器やシステムの事業者などで組織するNVISA(NextGen Video Information Systems Alliance)が8月上旬、認知度向上のための「デモ・チャンネル」開設を提案した。その第一歩として、放送局の経営者レベルでタスクフォースを設置するなど、業界を挙げた相互協力が優先されるべきと訴えている。
NVISAは放送局に送った書簡で「放送事業を維持・拡大するためにはATSC 3.0/NextGenへの移行が必要不可欠。しかし、肝心の視聴者が新規格を理解していない」「ATSC 3.0機能搭載デバイス/テレビを持ちながら、気づかない視聴者が多い。優れたその機能をきちんと理解している一般消費者も極めて少ない」と強調。全米のテレビ市場の大半が最低1つのテレビ局が新規格に移行し、テクノロジーそのものの普及率は盤石になっているにもかかわらず、消費者や家電小売店サイドの認知度が低く、状況を打開するためには業界が連携して認知度を高めるべきとしている。
このため、NVISAは「デモ・チャンネル」を開設し、新たな規格が視聴体験をどう向上させ、生活に利便性をもたらすかを視聴者に周知するとともに、小売店での販促を加速させるべきだと提案した。また、同チャンネルではインタラクティブな番組ガイドや緊急時の警報機能、リアルタイムの「スポーツ賭博」などを、ATSC 3.0の機能向上に伴って随時アップデートさせるよう求めている。NVISAは現行規格ATSC 1.0とのサイマル放送からいずれ脱却し、最終的にはATSC 3.0への完全移行も視野に入れている。